「愛される経営者」を目指すのは危険です。マキャベリの教えに学び、恐れられつつも尊敬されるリーダーになる方法とは?忖度する経営者から脱却し、真に強い組織をつくるためのヒントをお届けします。
ルネサンス期を生きたフィレンツェ人のマキャベリは著書『君主論』で以下のように述べている。
「愛されるより、恐れられる方がはるかに安全である」
ここ数年の風潮として「愛される」という言葉に重きが置かれているが、経営者にとって「愛される」というのはマキャベリが述べるように危険な兆候であると言わざるを得ないであろう。なぜ、愛されることが危険なのか。
それは、「人間は、恐れている人より、愛情をかけてくれる人を、容赦なく傷つけるものである」からだ。だからといって、マキャベリは恐怖政治を行えとは一言も言っていない。恐れられるというと、たとえば旧ソ連の独裁者スターリンのような存在を思い浮かべるかもしれない。彼は『君主論』を愛読していたとも言われており、国民だけでなく直属の部下にも恐れられる存在であった。その証拠に1953年3月1日、スターリンはモスクワ近郊のクンツェヴォの別荘で倒れたが、彼を恐れた部下からすぐに発見されず、治療の機会を失ったとも言われているほどである。
しかし、マキャベリの恐れられているというのは「恨みを受けることなく」という条件付きである。つまり、相手の財産を奪うことをしてはならないと言っているのである。
現代の経営に当てはめると、相手のプライドを傷つけることをしてはならぬ、ということであろう。つまり、「相手を尊重しつつ、恐れられる存在であれ」というのである。
よって、愛される経営者になる必要はないのである。愛されることを目指す時点で、相手の意向を伺っている。忖度しているのである。忖度は、相手に伝わる。あなたも経験があるだろう。「この人はゴマをすっているな」とか「本音で話していないな」ということを感じた経験が。人間は、言語よりも相手の行動や態度から受け取る情報が多いと言われている。つまり、「愛されたい」と思い行動することが、裏目に出てしまうことがあるのだ。
では、「相手を尊重しつつ、恐れる存在であれ」とはどんな存在なのであろうか。
それは、あなた自身が、相手を愛するということである。愛するということは、相手のために自分を犠牲にすることもいとわないということである。経営者は、従業員の生活を守る存在である。あなたは従業員の生活を守るために、日々売り上げや資金繰り、会社の未来について誰よりも考えているだろう。しかし、従業員は会社に不安や不満がある場合、「(会社に)守ってもらっている」とは考えない。つまり、あなたがいかに「守って」いても、従業員には微塵にも伝わらないのである。だからこそ、経営者であるあなた自身に必要なのは、「会社のビジョンを言語化し、発信するチカラ」なのである。会社のビジョンに従業員が共感すれば、そのために働くことが目的となる。さらに、多くの従業員がビジョンを共有すれば、一体感が生まれ、「ここで働いていてよかった」という思いを抱くこともできる。
人は、お金のために働いているのではない。確かにお金は安定した生活を送る上で欠かせないツールであるが、お金のためだけに時間や労力を投下するほど、人間は合理的に判断できない生き物なのである。
どんな人であれ、人からよく見られたいし、愛されたいものである。しかし、経営という主体性が必要とされるものにあっては「愛する」方に重点を置くべきである。
そして「ビジョンを発信するチカラが今後ますます重要になってくるのが、VUCAと言われる不確実で先の見えない、これからの時代なのである。
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2009.10.27
2008.09.26
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