「ダメだからダメ」の先にあるもの

2008.04.11

営業・マーケティング

「ダメだからダメ」の先にあるもの

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

「マニュアル対応の弊害」はよく言われることではあるが、マニュアルとて、正しく運用さえすれば良質な応対が実現できる。そして、さらにその先の世界があることも理解しておきたい。

もはや「都市伝説」の感があるが、「某ハンバーガーチェーンでハンバーガーを数十個注文したら『店内でお召し上がりですか?お持ち帰りですか?』と対応された」という話がある。事実はかなり怪しい気がするが、”マニュアル対応の問題点”を指摘する例だと考えればいいのだろう。

しかし、事実は都市伝説より奇なりとうか、どうにも珍妙な応対に遭遇した。
某シネコンにて家族で映画鑑賞をした。ポップコーンを求めたときに、娘が上映中の暗がりでこぼすことを懸念してビニール袋を欲しいと申し出た。帰りがけに購入して持ち帰る客用に用意があることを知っていたからだ。しかし、販売担当者の答えは「場内にビニール袋類の持込はできません」だった。
なぜ、持込ができないのか合点が行かなかったので、袋がもらえない理由を尋ねると、「禁止されているので、お渡しできません」だった。取り付く島がない。
おそらくマニュアルに「場内にビニール袋類を持ち込ませないこと」と記されているのだろう。その担当者は職務に忠実だったのだ。残念なことに、なぜそれがいけないのかという意味を理解していないのだ。
いまだになぜ袋がNGなのかは謎なのだが、おそらく何らか顧客が快適に過ごせるためにというような理由があるのだろう。その趣旨が顧客に伝えられないのは残念なことだ。

マニュアルとは本来、高度標準化された顧客対応を実現するためのものだ。その基本理念が徹底されていないと、店内でハンバーガーを数十個食べるのか聞いたり、「ダメだからダメです」言ったりという珍妙な応対がなされることになる。

「なぜ、マニュアルに記載されている項目はそう定められているのかを理解させるのは運用の第一歩だ。
さらに、その実現のために、自分はどう工夫すればいいのかを「考えさせる」ことができれば、さらに良質な応対を実現する。

しかし、それで終わりではない。その次にあるのは「マニュアル・レス」の世界だ。

マニュアルを用いず、社員自らが「いかにすれば顧客満足を高められるのか」を考え続けるという姿である。
日経MJ4月9日ので、<リピート多い低価格ホテル>と題された記事が掲載されていた。全国76店舗を展開する「スーパーホテル」。モットーは「宿泊の翌日に元気になってビジネスに取り組んでいただきたい」だという。
ローコストオペレーションがビジネスモデルの要である低価格ホテルと、良質な顧客対応は並存しがたいように思える。しかし、同社は<社員たちが作った「フェイス」という経営理念を記した冊子を常に持ち、(中略)自分がどう取り組んでいるかを(朝礼で)発表する。>と、徹底して自ら考え、行動する顧客対応を実践している。<二月に関西経営品質イノベーション賞を受賞した>とあるが、その日々たゆまぬ努力は見事といっていいだろう。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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