美大生って何者?~その2 美大キャリア教育で「普通」を教える

2021.12.21

組織・人材

美大生って何者?~その2 美大キャリア教育で「普通」を教える

増沢 隆太
株式会社RMロンドンパートナーズ  東北大学特任教授/人事コンサルタント

文系とも理系とも違うナゾの暗黒大陸、美大とそこで学ぶ学生の人材バリュー。決して美術やデザインだけに限らないことを知っていただきたいと前稿を書いたところ、予想外にアクセスをいただきました。調子に乗って第2弾、美大はどんな人材を送り出しているかを書きたいと思います。

単に文字を埋めれば良いのではなく、履歴書という書類を通じて自分を売り込むという、ある意味美大生が苦手とする文章コミュニケーションであることも説明しました。

恐らく私の想像を超える苦労があったと実感しています。しかしそれだけに、この苦労を3年次に体験しておくのはきわめて意味があると考えます。「すごく書くのはたいへん」であることを実体験しておくのと、就活本番の時初めて経験して、あせりから挫折しかねないほどの苦労をするのであれば、絶対に早い内に慣れておくのが有利だからです。

四苦八苦して書いたであろう履歴書をすべて読み、例えば学歴の書き方が間違っている個所、学校名を「二寺小学校卒」のように省略したり、「秋田市立」を抜かしたりを修正するよう指摘。さらには意図はわかっても、自分の売り込みになっていないような自己紹介欄を修正したりと、とんでもない手間はかかりましたが、非常に意味のあるフィードバックができたと自負しています。これを私一人で行ったことは、統一した価値判断が出来、学生の皆さんにもブレなく説明ができたと思います。

・確実に広がった選択肢
キャリア教育にベストはありません。長年取り組んできた理系大学院生向けキャリア教育において、私は最も経験と知見を持っていると自負しています。(持ってるだけですが)
「美大生にはポートフォリオ」が重要なことも重々理解し、それを否定する気は一切ありません。

ただ秋田美大のように、卒業生のほとんどは「会社員」になるのです。その半分は普通の会社員であって、デザイナーやAD(アートディレクター)などのクリエイティブ職ではありません。普通の会社員になるんだったら美大に行く意味が無い、のでしょうか?????

東北大や東工大といったトップ大学院の修士/博士を修了して、製造部門や営業部門で働くOBOGは山ほどいます。理系トップ大学院修了者全員が研究者・研究職に就くことはありません。理系トップであれ、美大であれ、「普通の会社」に「普通の職務」で入社するのがマジョリティなのです。もちろんそれは負け組でもなんでもなく、理系出身社長の多くは研究所ではなく製造部門出身であり、理系で営業までできれば会社を背負う基幹業務を2つとも押えることになります。

発想力や表現力に加え、ヨゴレも気にせず制作を実践できる美大生。現場仕事もIT(イラストレータ)対応までやります。(男女ともけっこうな力持ちもいる)

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増沢 隆太

株式会社RMロンドンパートナーズ  東北大学特任教授/人事コンサルタント

芸能人から政治家まで、話題の謝罪会見のたびにテレビや新聞で、謝罪の専門家と呼ばれコメントしていますが、実はコミュニケーション専門家であり、人と組織の課題に取組むコンサルタントで大学教授です。 謝罪に限らず、企業や団体組織のあらゆる危機管理や危機対応コミュニケーションについて語っていきます。特に最近はハラスメント研修や講演で、民間企業だけでなく巨大官公庁などまで、幅広く呼ばれています。 大学や企業でコミュニケーション、キャリアに関する講演や個人カウンセリングも行っています。

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