一時的大盤振舞いの財源には資産課税強化と国の資産売却を充てよ

画像: Mike Licht

2021.10.28

経営・マネジメント

一時的大盤振舞いの財源には資産課税強化と国の資産売却を充てよ

日沖 博道
パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

総選挙に際しての「大盤振舞い」オンパレードの与野党の公約には、財源を真剣に考えた様子がまったくない。将来世代への責任を考えたら国債依存のこれ以上の膨張は許されず、所得税・消費税の増税も現実的ではない。現実性かつ社会の公正さから言っても、不動産を中心とする資産課税の強化と、国の資産売却が最有力ではないか。

選挙の季節になると毎度のことではあるが、「我が党が政権を取ればこんなに皆さんにとってメリットがありますよ」という甘いばかりの選挙公約を各党・各候補が声高に叫んでいる。「高校までの教育の無償化」や「出産にかかる費用を無償化」など今回になってようやく強調されている項目もあれば、(コロナ対策に名を借りた)経済対策・中小企業対策といった相変わらずの項目もオンパレードである。

確かにコロナ禍で大打撃を受けた業界の人々、そのしわ寄せを一挙に受けている経済的・社会的弱者の人々の生活を守るだけの精一杯の支援を、今は緊急避難的にすべきである。(トップたる富裕層からのトリクルダウンではなく)むしろボトム層への支援をしっかりすること、およびミドル層を分厚くすることが、社会としての健全性・持続性を保つことにつながると同時に、巡り巡って総体としての景気対策にもなるというのは実は経済理論からも合理的だ。

その意味で、与野党揃って分配政策の重視を掲げていることは、ようやく政治がまともな方向感覚を取り戻しつつあることとして喜ばしい限りである。

だが一方で、今まで以上のバラマキを掲げる政党ばかりであることも事実だ。例えば国民への一律現金給付や所得税減税や消費税の減税を多くの政党が競うように高々と掲げている。コロナ禍で苦しんでいる家庭に対しては適切だが、大した痛手を被っている訳でもない世帯にまで再度現金を配ったりするほど、納税者は寛大ではないし、我が国の財政には余裕は無い(というか、先進国といわれる中では圧倒的に悲惨な財政難にある)ことを彼らは認識しているのだろうか。

しかしながら彼らの選挙公約を見る限り、国の財政状況を踏まえた上で、こうした「大盤振る舞い」を裏打ちする財源の問題を真剣に考えている、もしくは国民に真面目に説明しようとしている責任ある政治家がほぼいないことも、嘆かわしい現実である。

与党は財源についてはほとんど口をつぐんでいる。結局彼ら(といっても幹部以外は気にすることすらしていないかも知れないが)は「行けるところまで国債発行(つまり借金)で行けばいいじゃないか、幸いにして金利暴騰の予兆はなさそうだし」としか考えていないのではないか。そうした態度がいつしか市場の不信感を買い、国債市場が暴落して金利が暴騰して手をつけられないほど債務が膨れ上がる事態になるリスクをどれほど真剣に心配しているのか、逆に心配になってしまう。

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日沖 博道

パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

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