「老害」の背景:身分世襲の妄執

画像: 映画『小説吉田学校』から

2021.02.13

組織・人材

「老害」の背景:身分世襲の妄執

純丘曜彰 教授博士
大阪芸術大学 哲学教授

/本来は会社や組織が事業継続のために公的に継承していくべき人脈を、老害は自分がプライベートに築いてきた私物と勘違いし、自分の子女のみに相続させようとする。これに失敗すると、組織は老害本人以外、外部との連携を持たず、日干しになり、人材も流出枯渇。/

そうでなくても、ボンボンに才覚が足らないと、延々と親が「老害」となって外部との「人脈」を独占保持し続け、子女のライバルになりそうな優秀な人材を潰し続けないとならない。ただでさえ、自立できないような、いまいちな連中ばかりが吹き溜まって残ってしまっているのに、こんなチンケな出来レースでは、わざわざ潰される当て馬になりに、会社や組織を盛り立てられるような優秀な人材が新規に入ったりしない。いよいよボンボンも、だれのサポートを得られなくなり、全体がポンコツ集団に成り果てる。

ようするに、本来は会社や組織が事業継続のために公的に「継承」していくべき「人脈」を、「老害」は自分がプライベートに築いてきた「私物」と勘違いし、自分の子女のみに「相続」させようとする。これがうまくいけばいいが、この子女に相応の才覚が無いと、もしくは、この子女が死去したり失脚したりすると、組織は「老害」本人以外、外部との連携を持たず、日干しになり、人材も流出枯渇。

日本中、政治も、経済も、マスコミも、はては芸能界、アニメ業界まで、外部との「人脈」を独占し、自分の子女に私的に相続させようとしてきた戦中世代、第一団塊世代の「老害」のせいで、いまや有為の人材が流出枯渇し、自分ではなにも決められない、外部との交渉もできない(交渉のルートも持たない)者ばかり。そもそも、いつまでも親がかりで、社内の切磋琢磨にも耐えられないようなボンボンが、ポンコツ集団を率いて、広い社会、広い世界での競争を勝ち抜けるわけがない。

ムリなものはムリ。あれほど旧体制の世襲を嫌って新たな有為の人材を集めた常勝のナポレオンや織田信長、豊臣秀吉さえ、最後にはみずからが世襲を図って、すべてを失った。一方、徳川家康は、人をまとめられない後継ぎの嫡男を斬って棄て、幕府を成した。子々孫々まで続く新たな「戦後名家」を打ち立てたいなどという私的な現世執着を棄て、会社や組織、日本や世界の繁栄のために身を尽くし、より多くの後進を育て上げるなら、それは、高齢であっても「老害」ではなく、子々孫々まで「偉人」と讃えられるだろう。その意味でも、私的財閥を成すことを嫌い、広く人々が豊かになることのみを願って多くの会社や組織を優秀なな後進たちに譲り、恬淡と財界を去っていった渋沢栄一の生き方は、いま、学ぶところが多いように思う。

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純丘曜彰 教授博士

大阪芸術大学 哲学教授

美術博士(東京藝大)、文学修士(東大)。東大卒。テレビ朝日ブレーン として『朝まで生テレビ!』を立ち上げ、東海大学総合経営学部准教授、グーテンベルク大学メディア学部客員教授などを経て現職。

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