ロックダウン下のアメリカで「ニッチSNS」の静かなるブーム

画像: ダイナサーチ撮影

2020.06.16

経営・マネジメント

ロックダウン下のアメリカで「ニッチSNS」の静かなるブーム

石塚 しのぶ
ダイナ・サーチ、インク 代表

アメリカでは地域によっては二カ月以上もロックダウン(外出禁止令)を経験したところもあり、弊社オフィスがあるロサンゼルスもはやくも3カ月が経過する。ロックダウン下でエンターテイメントと「つながり」を求めて、フェイスブックという没個性的なSNSに代わり、よりディープで親密な体験を提供するニッチSNSが静かなるブームを呼んでいる。

ディスコードの3億人のユーザーはゲームをプレイするためだけにそのプラットフォームに来るのではない。招待制オンリーのグループ機能も存在するが、ペットや政治、アニメ、電子マネーなど多種多用なテーマのグループが存在し、趣味や関心を共有するユーザーが会話に花を咲かせている。

ニッチSNSの主要収益源は広告、そしてユーザーから徴収する会費である。たとえばビール愛好家のソーシャル・アプリであるアンタップト(Untapped)は、バーや醸造所やその他ビール関連の業者の広告を掲載し、その広告料で運営を賄っている。ロックダウン以降には、アルコール宅配業者からの広告問い合わせが急増しているという。

ゆっくり走りたい人のためのマラソン・トレーニング・アプリ「スロー・エイ・エフ・ラン・クラブ(Slow AF Run Club)」は、ユーザーの利用レベルによって月5ドルから50ドルまでの会費を徴収している。また、オリジナルTシャツなどのアパレルを販売することにより運営費を賄っている。これらのニッチSNSが目指すのは「共通の趣味や関心を軸にユーザーが安心して集うことのできる聖域」である。万人に愛される必要はない。「安心」「安全」「仲間意識」を追求するニッチSNSの時代が到来している。

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石塚 しのぶ

ダイナ・サーチ、インク 代表

ダイナ・サーチ、インク代表 https://www.dyna-search.com/jp/ 一般社団法人コア・バリュー経営協会理事 https://www.corevalue.or.jp/ 南カリフォルニア大学オペレーション・リサーチ学科修士課程修了。米国企業で経験を積んだのち、1982年に日米間のビジネス・コンサルティング会社、ダイナ・サーチ(Dyna-Search, Inc.)をカリフォルニア州ロサンゼルスに設立。米優良企業の研究を通し、日本企業の革新を支援してきた。アメリカのネット通販会社ザッポスや、規模ではなく偉大さを追求する中小企業群スモール・ジャイアンツなどの研究を踏まえ、生活者主体の時代に対応する経営革新手法として「コア・バリュー経営」を提唱。2009年以来、社員も顧客もハッピーで、生産性の高い会社を目指す志の高い経営者を対象に、コンサルティング・執筆・講演・リーダーシップ教育活動を精力的に行っている。主な著書に、『コア・バリュー・リーダーシップ』(PHPエディターズ・グループ)、『アメリカで「小さいのに偉大だ!」といわれる企業のシンプルで強い戦略』(PHP研究所)、『ザッポスの奇跡 改訂版 ~アマゾンが屈した史上最強の新経営戦略~』(廣済堂出版)、『未来企業は共に夢を見る ―コア・バリュー経営―』(東京図書出版)などがある。

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