コロナ禍で見えた、介護施設とは異なる、「高齢者のみ世帯」の3つのリスク。

画像: TANAKA Juuyoh (田中十洋)

2020.05.13

ライフ・ソーシャル

コロナ禍で見えた、介護施設とは異なる、「高齢者のみ世帯」の3つのリスク。

川口 雅裕
NPO法人・老いの工学研究所 理事長 /一般社団法人「人と組織の活性化研究会」理事

感染症は、介護施設だけでなく、高齢者のみ世帯にもリスクがある。

自立生活が可能な高齢者にとって、外出自粛が招いたリスクは次の3つである。

一つ目は、運動不足によってフレイル(虚弱)が進むことだ。店が閉まり、買い物や外食などちょっとしたお出かけがなくなり、散歩や運動をする機会も減ってしまった。運動をしないと、高齢者では2週間で筋力が23%低下するという調査もあり、若い人ならまだいいが、高齢者は筋力の低下を元に戻すのはかなり難しいことになる。

二つ目は、人と会う機会やストレス解消の機会が減り、抑うつ傾向が強まることである。「三密」を避けるために、定期的に参加していたサークル活動やイベントが中止になるし、近所づきあいなど人と交流する機会も減ってくる。交流機会の減少は、抑うつ傾向を強め、さらには認知症のリスクも高まることは、様々な調査で明らかになっている。

三つめは、孤立・孤独の問題だ。交流の機会、人と話をする機会の減少は、すなわち何か困った時に声をかける人、ちょっと手伝ってくれる人が近くにいなくなるということである。日常的に見守ってくれる人が減る。家庭内事故や体調急変に気づいてもらいにくい、という環境に置かれてしまう。

以上のように、今回のコロナ禍のような事態においては、要介護状態ではない、高齢者のみ世帯においても「フレイル(虚弱)」「抑うつ」「孤立」という3つのリスクがあることが分かった。これからも新型コロナウィルスへの警戒を怠るわけにはいかず、また毎年のようにインフルエンザで3千名が死んでいる(今回のコロナウィルスによる死者をはるかに上回る)ことを踏まえれば、高齢者はまず「介護施設に入らないようにするための健康維持」に努めるとともに、「外出規制などがあっても、近くに人がいて支援が受けられる環境」に住むことが重要になってくるはずだ。

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川口 雅裕

NPO法人・老いの工学研究所 理事長 /一般社団法人「人と組織の活性化研究会」理事

「高齢社会、高齢期のライフスタイル」と「組織人事関連(組織開発・人材育成・人事マネジメント・働き方改革など」)をテーマとした講演を行っています。

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