トイレットペーパー・パニックから見る経済パラダイム転換

2020.03.05

ライフ・ソーシャル

トイレットペーパー・パニックから見る経済パラダイム転換

純丘曜彰 教授博士
大阪芸術大学 哲学教授

/日本だけでなく、世界各国でトイレットペーパーが売り切れになり、パニックを起こしている。買い占めのせいだ、というが、そんな簡単な話なのだろうか。/

二十世紀、共産主義は、強権的にありとあらゆるものを共有化することで、社会的な余裕をひねり出し、それを「科学」で運用することで国家を富ませようとしたが、失敗した。そして、資本主義でも、持てる者たちの任意の「信用」さえも瓦解しようとしている。人に感染させるかもしれない人でも自分勝手に平然と街に出歩く。放射能のときもそうだったが、専門家たちが「ただちに影響は無い」と言って、後々の深刻な健康上の問題の可能性については口をつぐむ。公衆トイレ、学校や会社のトイレットペーパーのストックを盗み出すやつも出てきた、などという話も漏れ聞く。同じ国民、同じ仲間、というような「公共」の精神そのものが壊れてきたのだろう。

やがて、災害などが加われば、トイレットペーパーはもちろん、食料などの生活物資、ライフラインまで、いよいよ絶対量さえ足らないということになるだろう。こうなると、ふたたび集団で結束して、たがいに協力せざるをえないかもしれない。しかし、その集団で武装し、他の集団から奪い取ってでも生き残ろう、ということになるのかもしれない。

いまだに、いつ元に戻るのか、などと寝ぼけている者がいるが、世界は、もう絶対に元には戻らない。生き残るのは、変化に耐える強者ではなく、変化に順応する賢者だ。現実を直視し、割り切って、頭と心を切り替えることが必要だろう。

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純丘曜彰 教授博士

大阪芸術大学 哲学教授

美術博士(東京藝大)、文学修士(東大)。東大卒。テレビ朝日ブレーン として『朝まで生テレビ!』を立ち上げ、東海大学総合経営学部准教授、グーテンベルク大学メディア学部客員教授などを経て現職。

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