オフィス労働生産性を向上させるために(8)『働き方改革』の手順を間違うな(1/2)

画像: Camera Eye Photography

2020.01.15

経営・マネジメント

オフィス労働生産性を向上させるために(8)『働き方改革』の手順を間違うな(1/2)

日沖 博道
パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

前回の第7弾の記事では、『働き方改革』におけるICTの役割と留意点をお伝えした。今回と次回では、本シリーズのまとめ的なものとして、『働き方改革』を進めるのであればその手順をきちんと考えて進めるべき、という(極めて当たり前だが往々にして軽視されてしまう)ことをお伝えしたい。

注2)「絶対的な正解」はないが、「絶対的な間違い」というのはある。「業務改革の専門家」と称しながら、どんな場合にも同じアプローチを適用しようとする人たちはあまり信用しないほうがよい。本来は、業務のプロセスはおしなべて短いが業務数の多い総務などの間接部門に向いた「ABC分析」という手法を信奉するコンサルタントが、同じ手法を直接部門でも強引に適用しようとしたケースを著者は何度も目にしている。これなどは素人を騙すという意味で詐欺に近いほどタチが悪い(ただし本人たちも悪意でなく無知・浅慮によって拘泥していると思われる)。

3.現状を把握する

これは読んで字の如く、「今はどうなっているのか」を調べて理解することである。このときに重要な視点は、業務プロセス上の「どこにどんな大きなボトルネックがあるのか」を漏らすことなく洗い出すことと、初期の解決仮説を適用するにあたって「どんなことが障害になりそうなのか」を現場視点で押さえておくことである。

前者の「ボトルネック」というのは、業務の流れを阻害する状況とその要因のことを指す。現場で細かく見て気づくものと、視点を大きく広げることで気づくものが全く違うこともよくあるので、気をつけたい。

例えば、現場でヒアリングしたら「使っている業務アプリが古くて使いにくい」という意見が多く出てくるかも知れないが(その場合、ボトルネックは「古臭い業務アプリの存在」ということになる)、大きな視点で見れば「そもそもそうした業務は忙しい現場でやる必要がないのでは?」という気づきが得られるかも知れない。

4.『大きな改革』部分と『草の根改善』部分を切り分ける

これはアプローチに含まれることだが、たいていの業務改革ではほぼ必須の考え方なので、あえて明示して切り出している。

前のステップの「現状把握」にて、どこに大きな改善余地があるのか、どんな大きなボトルネックがあるのかを押さえているはずである。ならば『大きな改革』ができそうな部分に対してはトップダウンによるリエンジニアリング・アプローチで思い切った改革を仕掛けるべきである。

例えば、大半の部署で発生しているがバラバラのやり方で対処している業務を全社的にシステムで強制的に共通する(または集中処理する)ことで大きく効率化する、といったものが当てはまる。

そしてこうした『大きな改革』が向かない業務に関しては『草の根改善』、すなわち各現場の創意工夫に任せるというやり方が現実的だろう。

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日沖 博道

パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

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