毎月勤労統計。不適切調査による追加支払いが、567億円に!

2019.02.06

ライフ・ソーシャル

毎月勤労統計。不適切調査による追加支払いが、567億円に!

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南青山リーダーズ株式会社

2018(平成30)年12月28日の新聞紙面に「勤労統計で調査ミス」の記事が掲載された。 従業員500人以上の事業所はすべて調査する必要があるにもかかわらず、東京都では3分の1程度しか調べていなかったというものだ。年金、マイナンバーと不祥事が続く厚生労働省(以下、厚労省)のさらなる不祥事であり、単なるミスではなく、雇用保険や労災保険の支給額にも影響するとなると他人事ではない。 さらに、調査結果は国内総生産(GDP)で物価の動きを示す「GDPデフレーター」でも使われている。重要な統計に影響が出る恐れもある。 なぜこうした不適切な調査が行われたのか、それが私たちの生活にどうかかわるのか、確認しておこう。

単純計算では、わが国の就業者数は約6700万人の3人に1人が本来より低い給付を受けていたということになるわけだ。さらに、雇用調整助成金などで延べ30万件の過少支給があった。いずれにせよ、今回の不適切な調査によって膨大な数の国民に影響がおよぶことになるのは間違いない。

─ それぞれの保険ごとにみる過少給付は以下の通りである。
1)雇用保険
1人あたり平均約1400円、延べ約1900万人、給付費約280億円
2)労災保険
【1】年金給付(特別支給金含む):1人あたり平均約9万円、延べ約27万人、給付費約240億円
【2】休業補償(休業特別支給金を含む):1人 1ヶ月あたり平均約300円、延べ45万人、給付費約1.5億円
3)船員保険
1人あたり平均約15万円、約1万人、給付費約16億円
4)事業主向け助成金
雇用調整助成金等:対象件数延べ30万件、給付費約30億円

いずれも、2004(平成16)年以降に雇用保険や労災保険等を受給した人に対し、厚労省は今後の手続きに役立つ可能性があるとして、関係する書類を保管してほしい旨のお願いをしている。
厚労省のミスである以上、該当者が書類を持っていなくとも追加給付されることは当然だが、心あたりがある場合は、念のため保管しておいたほうがよさそうだ。

過少支給が生ずるしくみとは

不適切な勤労統計がなぜ雇用保険や労災保険の過少給付となるのか、雇用保険を例にとって説明しよう。
雇用保険では支給に際し、離職した日の直前6ヶ月間に毎月決まって支払われた賃金から算出した「賃金日額」に基き、失業給付の1日あたりの金額である「基本手当日額」を算出している。
この賃金日額には上限額と下限額が設定されており、「毎月勤労統計」の平均定期給与額の増減によって、毎年8月1日にその額が変更されるしくみだ。

2018(平成30)年8月1日には、2017(平成29)年度の平均定期給与額が前年比で約0.5%増加したことから、上限額・下限額ともに引き上げとなった。離職時の年齢が45歳〜59歳の人の場合、賃金日額の上限額は1万6410円から1万6500円に引き上げられ、基本手当日額の上限額も8205円〜8250円へと45円引き上げられている。

離職票に記載された賃金日額がこの上限額よりも高い人は、基本手当日額が上限にかかり、8250円が失業給付の一日分となる。見直しに際し、勤労統計が不適切に行われ、平均定期昇給額が前年と同額になると、賃金日額の引き上げは行われず、約6750円(45円×30日×5ヶ月)が過少給付になる、というしくみである。

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