FOMC声明文からみるFF金利の打ち止め感

2019.02.04

経営・マネジメント

FOMC声明文からみるFF金利の打ち止め感

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注目のFOMC(米連邦公開市場委員会)が今週開催されました。 昨年末の米株式市場の下落、米中貿易摩擦から、グローバル経済の落ち込み、とりわけ中国経済が後退局面にあるのではとの懸念、そして米国経済も後退局面に陥るのではと、いろいろと観測されている中での開催です。 今回は、FOMCの内容が前回からどのように変化したのか、そしてパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の発言内容を検証します。 また注目されていたバランスシートを正常化に向けた動きとの関係も見てみましょう。それにあわせて、金利はどのように動いているのかを読みたいと思います。

FOMC声明の内容とは

まずは、FOMC声明文から見ていきます。
はじめに、政策金利(フェッド・ファンド・レートFF Rate)は予想通り2.25~2.50%と据え置きとしました。これに関しては、前回12月のFOMCで0.25%利上げを実施したばかりでした。

さらに詳しく内容を見ましょう。
今回大きく注目される部分は、「FOMCは、世界経済・金融情勢やインフレ圧力の落ち着きを踏まえ、そうした成果をもたらす将来のFF Rateの誘導目標をどのように調節することが適切であるのか忍耐強く(be patient)判断する。」との記述部分です。

まどろこしい表現ですが、利上げには非常に慎重にあるべきだと、利上げにネガティブな印象を持たせました。様子見を決め込んだとも言えます。
前回は、「段階的にFF金利を引き上げることが、拡大する経済、強い雇用市場、FRBの2%のインフレ目標に近づくインフレに対する政策と一致する。」と記述されていましたので、これは金融政策の大きな方針転換と言えます。

確かに消費者物価指数は直近で2.2%前年比、筆者が注目しているPCEコア・デフレーター1.8%前年比と、FRBのインフレ目標前後に位置してます。
しかしこれは、米中貿易摩擦の結果、中国の景気後退観測、米ハイテク企業の業績悪化などが要因と言えます。

そのため今回、早めに市場にメッセージを発し、当面(今年中)は政策金利の引き上げを行わないという文言を声明文に盛り込んだのではないかと思います。
また、パウエル議長は記者会見の場で、「利上げの根拠はやや弱まった。将来の利上げに必要な大きな要因はインフレの可能性である。過度に高いインフレのリスクは減退した模様である。」とも語っています。
これにより、昨年以来、利上げは米経済を冷え込ませるというトランプ大統領からの政治的圧力はなかったということを示し、FRBは米連邦政府からは独立した機関であるという立場を堅持したのではないでしょうか。

金利の動き

それでは金利はどのように動いたのでしょうか。
10年米国債利回りは2.65%前後と、1月の平均利回り水準2.70~2.80%からは低下してきています。
そして短期金利先物では、3月限2.66%、6月限2.66%、9月限2.66%、12月限2.67%と、現在のFF金利を上回っているものの、仮に1回の利上げ0.25%実施となった場合の上限金利2.75%からは大きく低下してきています。
つまり、今年の利上げはないと言えるでしょう。

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