米国市場における現在のリスク構造

2018.11.05

経営・マネジメント

米国市場における現在のリスク構造

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筆者は先月、米国東海岸を旅する日々を過ごしました。その間、毎日米株式市場の指数を確認すると、大幅に下落する日々が続きました。昔から何が起こっているのかをチェックするのが日々の習慣となっていますが、その体質からは今回も脱出することが出来ませんでした。

米国旅行をしていると、中国製品がどれだけ多く出回っているのかを実感することになります。繊維製品、雑貨、それと中国製パソコンなどです。
これらの製品に25%の追加関税が順次課されることになると、全体的に物価を押し上げることになります。

現在の消費者物価指数は2.3%(9月)です。
FRBのインフレ目標は2%であり、すでに現時点で消費者物価指数はこの数字を上回っています。
今後、中国製品への追加関税が実施されることによって、米物価指数はさらに上昇することが予想されます。

米中貿易摩擦は双方に痛みを伴います。
先ほどご紹介したように中国側も厳しい状況ですが、米国では物価押し上げだけではなく、中国製品が自由に適正な価格で輸入できないことになることが予想されます。
この状況が続くと、さらなる米景気の悪化、そして米企業の収益悪化も考えられるでしょう。

FRBメンバーの中には、米中貿易摩擦の景気悪化が、現在のFRBの利上げスタンスに悪影響をもたらすのではとの考察を出している人もいます。
具体的には、今後利上げスピードが落ち、打ち止め感も早まるのではとの憶測も出てくるのではと感じています。
景気悪化が鮮明になれば、トランプ大統領としても、中国への矛を収めることに繋がるでしょう。

結論として、ニューヨークの投資家の懸念は増しており、株式市場が調整局面するのではとの懸念が出てくることになると思われます。

突然浮上したサウジアラビア問題

サウジアラビアでのジャーナリスト殺害事件が、国際社会に大きな汚点を残しています。
サウジアラビアは、米国にとっては同盟国、そして、米政治経済に大きな影響力を及ぼしているイスラエルと共にイランへの盾となっている国であります。
今回の事件は、この国が引き起こしたある種のスキャンダルと言えます。

米国としては、これまでの関係を悪化させることは避けたいのが本音です。
しかし、自由主義社会の盟主としては、秘密裏にサウジアラビアが皇太子の関与を否定し解決してしまうことを望んではいません。今後は落としどころを模索するのではないかと思います。

サウジアラビアは、多額のオイルマネーで米国に投資している国です。過度な敵対する姿勢を米国が示せば、オイルマネーを米金融市場から引き揚げてしまう懸念は残ります。
しかしながら筆者は、そこまでの行動はとらないのではと考えています。
原油について、サウジアラビア側は引き続き増産する姿勢を示しています。原油価格もWTIで70ドル(1バレル当たり)を下回っており、大きくは価格上昇の動きにはなっていません。現状だけを見れば、小康状態の原油価格であると言えます。

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