ロジカルシンキングを越えて:11.面白くない病とその処方箋

画像: ぱくたそ

2018.09.26

経営・マネジメント

ロジカルシンキングを越えて:11.面白くない病とその処方箋

伊藤 達夫
THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役

ロジカルシンキングブームが去ってから長いものの、ビジネスプランニングにおけるロジカルシンキングには大いなる誤解や形式に偏った理解がよく見られます。ビジネスプランニングにおけるロジカルシンキングとは何なのか?何でないのか?誤解や偏った理解を含めて概観しつつ本当に使えるやり方を明らかにしていきます。

米国企業のように、スケールメリットを追求して、各国にアダプテーションばかりして拡大するような企業は、ここまで深く考える必要はそもそもないと思います。これは、日本企業あるいはヨーロッパ企業にのみ、宿命的に必要なことなのだと思っています。

感覚論でしかありませんが、その理由を書かかせていただきます。日本のマーケットというのは非常に難しいことが知られています。最近、中国企業が進出してきていますが、軒並みうまくいっていない。本国では好調でも日本ではなかなかうまくいかない。中には、日本オフィスを置いているほうが東南アジアでのセールスの際にいい印象があるという理由だけで日本に進出している中国企業もあるようです。

中国企業が日本でうまく行かない理由は何か?といえば、日本市場があまりに戦略変数が多いマーケットだからだと思います。つまり、競争優位を築くためにクリティカルとなる変数の数が多い複雑な市場なのです。

米国は、日本との比較の中ではシンプルな市場だと思います。そういう市場で育った米国企業はスケールメリットを追求して、アダプテーション的な海外進出の仕方、M&Aで規模を追うといったことが、自然な発想となってくるでしょう。

しかし、日本の複雑なマーケットで勝負して大きくなった企業は、規模の追求でなんとかするような勝負の仕方をする気にはならないのだと思います。

日本企業の経営者は、いわゆるグローバルニッチともいうような、また戦略変数の多いマーケットに入っていって、知恵を絞ってなんとかするというような、生き方を選んでいかざるを得ないような感覚の中にあるでしょう。

そういった経営者から見ると、現状改善型の企画では満足できないし、今後の複雑な世の中の進化を読み解いてこそ、勝負になると思っているのではないかと思います。

その経営者が求める企画は、戦略にせよ、全社の改革にせよ、世の中の進化を踏まえている「面白い」企画なのでしょう。

この道のりは、決して短くはない。むしろ、長い。長すぎます。

ここまで来られる企画スタッフはほぼいない。しかし、伝わらないリスクを承知でこのことを書いてみました。1人でも多くの企画スタッフがここまでたどり着いてほしいという思いとともに。

いわゆるコンサルティング業界において、飯を食っている人は、これぐらいわかっているよ、と思う人もいるとは思います。しかし、こんなことを書いてもニーズがないと思って、書かないのでしょう。あるいは、自分の優位性を保持するために書かないのかもしれません。

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伊藤 達夫

THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役

THOUGHT&INSIGHT株式会社、代表取締役。認定エグゼクティブコーチ。東京大学文学部卒。コンサルティング会社、専門商社、大学教員などを経て現職。

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