ハラスメントを招いてしまう要因は甲子園と水戸黄門

2018.08.20

組織・人材

ハラスメントを招いてしまう要因は甲子園と水戸黄門

増沢 隆太
株式会社RMロンドンパートナーズ 東北大学特任教授/人事コンサルタント

次から次へと現れるスポーツ界のハラスメント。 一般社会がこれだけコンプライアンスにうるさくなっているにも関わらず、悪質タックルに始まり、レスリング協会、ボクシング協会、チアリーディングや体操と、とどまるところを知りません。当初一部のだめな大学や組織の、一部の不心得な人物たちの暴走による特別な事件かと思いきや、次から次へと現れる新キャラも注目を集め、打ち止め感は全く見えない状況です。 スポーツ界だけが腐っているのか?それともそもそも私たちの一般社会の中に、ハラスメントを生む種があるのか?それどころかハラスメントを喜ぶ原因がないでしょうか?

1.高校野球の病根
高校野球のすごさはその「番組」としての強さにあります。一期一会のトーナメント、つまり負ければ即敗退というルールは見る者に緊張感を与えます。高校創立来初出場だったり、カネにものいわせて選手補強する強豪高校を普通の公立高校が競り勝ったり、マスコミ注目の選手が実力を出せずに敗退したり、素晴らしい成果で早々とプロ入りしてスターになっていく過程。まさにドラマプロットの塊のような存在です。

結果として高校野球は紅白歌合戦と並ぶ歴史的キラーコンテンツとして君臨し続けています。テレビ中継にとどまらず、関連マーチャンダイズや出版含めた巨大ビジネスになってしまったことで、その影の部分について正面からの批判はしづらい状況できました。

しかしかつての日本の夏とは別ものとなった超炎天の酷暑の中、抜群の体力を持つ高校生ですら倒れるという環境。連投によってまだ成長期の子供である高校生の身体に深刻な影響を及ぼし、人生を変えてしまうような強烈なプレッシャー。こうした問題点はずっと指摘はされてきていますが、根本的な改善はありません。

なぜか?

こうした問題点そのものを視聴者が楽しんでいるかではないでしょうか。教育的視点から見ればあり得ない酷暑下の試合も、身体に一生残るかも知れない深刻な負荷を与える連投も、「美談」のエッセンスなのです。そういった提案は既にありますが、もし高校野球を涼しい京セラドームで行い、プロスポーツ並みのケータリングで豪華に飲食できる設備を整え、十二分に休養を取れるような2ヵ月のトーナメントに「改善」したらどうなるでしょうか。

恐らく高校野球ファンの興味を削ぐことはあっても、今以上に盛り上がる可能性はないはずです。

2.水戸黄門こそドラマの見本
私はかつてシナリオ学校で脚本の書き方を習いましたが、そのとき先生に強く言われたことは「枷(かせ)」をいかに主人公にはめるかでした。普通の主人公が普通に生活したのではドラマになりません。普通よりはるかに厳しい環境で育ち、さまざまな艱難辛苦を克服し、やっと勝負舞台に上ったものの、そこでも予期せぬアクシデントや神様のいたずらのような不運を最後に跳ね返して勝利・・・なんていうベタベタのストーリーは、実は脚本の正当な構成です。

この典型がドラマ「水戸黄門」です。貧しい町人や下級武士が悪代官にいじめ抜かれ、時には命も落とす悲惨さのピークに水戸老公一行が印籠で大逆転する。奇をてらったストーリーはいかようにも作れるにもかかわらず、この偉大なるワンパターンの結果、42年間という歴史的人気を得られたドラマになりました。

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増沢 隆太

株式会社RMロンドンパートナーズ 東北大学特任教授/人事コンサルタント

芸能人から政治家まで、話題の謝罪会見のたびにテレビや新聞で、謝罪の専門家と呼ばれコメントしていますが、実はコミュニケーション専門家であり、人と組織の課題に取組むコンサルタントで大学教授です。 謝罪に限らず、企業や団体組織のあらゆる危機管理や危機対応コミュニケーションについて語っていきます。特に最近はハラスメント研修や講演で、民間企業だけでなく巨大官公庁などまで、幅広く呼ばれています。 大学や企業でコミュニケーション、キャリアに関する講演や個人カウンセリングも行っています。

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