セクハラの境界線 お笑いをつまらなくした真犯人

2019.01.24

組織・人材

セクハラの境界線 お笑いをつまらなくした真犯人

増沢 隆太
株式会社RMロンドンパートナーズ 東北大学特任教授/人事コンサルタント

ダウンタウン松本さんの番組での発言がセクハラであるという批判。長崎新聞社長による部下へのセクハラ・パワハラ発言。SPAによる女子大ランキング事件と、ハラスメント問題は絶え間なく続いています。つるし上げに対し、「こんなんじゃ何も言えない」「息がつまる」という声も出る中、ハラスメントへのスタンスを考えます。

1.セクハラ発言
ダウンタウン松本さんが、自身の番組「ワイドナショー」において、出演者である指原さんにセクハラ発言をしたという批判が起こりました。経緯としては、AKBグループであるNGT所属タレントへの暴行事件についてのコメントの中で、事実上AKBのトップリーダーである指原さんに対して、ゆるいボケの一環で放った松本さんに発言がセクハラだとしてネットニュースに上げられたのです。

恐らく番組を見ていない大多数の人は、このネットニュースの文字情報だけをみて「松本、セクハラ!」という印象を頼りに批判を広げ、さらに小島慶子さんやたかまつななさんなどの文化人がセクハラ糾弾に燃料投下とするなど、炎は燃え広がりました。

一方当事者である指原さんは自身のツイッターで本件について「松本さんが干されますように」との、正に神がかった絶妙のボケを返し、当事者二人の信頼関係や本件を勝手に広げられたくない意思表明をしたと考えられます。

他にも長崎新聞社長が、社長就任前のパーティで部下に対してセクハラ発言をしたことや、週刊SPA特集「ヤレるギャラ飲み」において、ギャラ飲み女性(お金を払って宴席に来てくれる一般女性)のランキングを載せた記事が猛批判を浴びています。ハラスメントがだめとなった現在でも、いまだにくり返されるのはなぜでしょう。

2.「信頼関係があればハラスメントではない」は通じない
ハラスメント対処が遅れればその企業組織の存亡にかかわる巨大なリスクとなった今、社会を上げてハラスメントの認識を高めているのが一般の社会です。しかし一方で、政治家を中心に「そんなつもり(ハラスメントの意図)はなかった」「本人も了解・納得している」「(不倫でも)個人間の恋愛関係に基づいたもの」という言い訳が行われます。本稿で挙げた3つの例すべてで、こうした言い訳が聞かれます。

結論からいば、ハラスメント行為かどうかでいうなら「全部ダメ」です。

重要な点は「本人同意」とハラスメントは関係ないということです。完全密室で他の誰にも聞かれない状況であれば、本人以外影響がありませんので、本当に本人が良いのであればそもそも問題になることがありません。しかし実際は第三者もいる公の場で行われることによって、問題は露呈し大批判を呼ぶことになります。

「本人の了解」を証明することは一般的にきわめて困難で、都議会でセクハラやじを受けた塩村文夏都議(当時)は、そのセクハラやじの場面でははにかんだ笑顔のようにも見える表情を浮かべました。痴漢の瞬間声が出せないのと同様に、ハラスメントにおいて被害者がその場で訴え出ることは、政治家でさえ難しいのです。多くの場合加害者側が発する「信頼関係がある」はハラスメントにおいて何の免罪符にもなりません。では松本さんの場合もそのように考えるべきなのでしょうか?

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増沢 隆太

株式会社RMロンドンパートナーズ 東北大学特任教授/人事コンサルタント

芸能人から政治家まで、話題の謝罪会見のたびにテレビや新聞で、謝罪の専門家と呼ばれコメントしていますが、実はコミュニケーション専門家であり、人と組織の課題に取組むコンサルタントで大学教授です。 謝罪に限らず、企業や団体組織のあらゆる危機管理や危機対応コミュニケーションについて語っていきます。特に最近はハラスメント研修や講演で、民間企業だけでなく巨大官公庁などまで、幅広く呼ばれています。 大学や企業でコミュニケーション、キャリアに関する講演や個人カウンセリングも行っています。

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