暴言市長、暴行教師にならないためのハラスメント対策

2019.01.30

組織・人材

暴言市長、暴行教師にならないためのハラスメント対策

増沢 隆太
株式会社RMロンドンパートナーズ 東北大学特任教授/人事コンサルタント

明石市泉市長による暴言、町田総合高校教諭による暴力。いずれもこれまでの感覚では暴言市長、暴力教師というレッテル貼りとは異なる背景があるようです。私たちがハラスメント「加害者」にならないための行動指針です。

1.これまでならただの暴言市長、暴力教師だったが・・・
明石市泉市長の市職員への暴言が報道され、全国ニュースで繰り返し「火をつけてこい」という暴言が流されました。ツイッターに投稿された町田総合高校の教師は、学生を殴りつけ廊下を引きずり回す動画が拡散されました。

こうした行為自体は昔からあり、今回の事件も当初のトーンは暴言を吐く、「ハラスメント市長」とか「暴力教師」と加害者を一方的に非難するものでした。しかしその後神戸新聞の報道で、暴言とされる市長の発言は2年前のものであったことや、立ち退きが7年も放置された結果、死亡事故も発生していることがわかりました。またツイッターでは、学生自ら教師を挑発し暴言を吐いていたことや、ツイッター投稿を意図して教師を挑発したらしいことなどが明らかとなっていきました。単純に気にくわないから暴言を吐いたり暴行したのとは違う事情も出てきました。

2.「事情」は免罪符になるのか
暴言や暴行は完全にハラスメントであり、犯罪でもあります。しかし事情を斟酌すれば、やむを得ない背景もあり、情報が新たに出るたびに行為をした当事者への擁護の声も増えています。

個人の感情は一旦置いて、組織としてのハラスメント対策の視点でいうなら、全部ダメです。

理由はどれだけ斟酌すべき事情があったとしても犯罪行為は犯罪行為だからです。ハラスメント対策の要点はこの一点なのです。「本人が善意ややむを得ない事情で行った」ことであっても、ハラスメントはハラスメントなのです。タレントの武井壮さんなどが教師の暴力を批判した投稿には、その発言を批判する反論が殺到したとのこと。

「教師の暴力は認めない」だけで終わってしまった武井さんの投稿は、確かに言葉足らず過ぎると私も思います。正確に表現するなら「挑発した学生の行為は許されるものではない一方、それでも手を出してしまった暴行という事実は非難されなければならない」ということが、ハラスメント対応の基本なのです。

暴行も暴言も犯罪であって、いかなる事情も免罪符とはなりません。しかしそのことと原因を作った側を処罰しないこととは全く関係ありませんので、町田事件で原因を作った高校生が処罰されるのも当然であり、被害者無罪で済ませては絶対になりません。

3.ハラスメント加害者にならないための研修
私は官公庁や企業といった団体において、ハラスメント研修を何度も行っていますが、最近は「管理職のための」とマクラ言葉をつけたセミナー依頼が増えています。「ハラスメントはやめましょう」という一般職員向けではなく、管理者がハラスメントをしないための具体的方策を伝えますが、市長のような最高権力者であれば当然すぎることながら、教師や企業管理職など批判を受けやすい立場の方々は、くれぐれも注意が必要です。

「そんなつもりはなかった」
「愛のムチ」
「信頼関係・本人のため」
「良かれと思って」

いずれの理由もハラスメント正当化には一切ならないことを認識してもらうのです。

つまり暴言は足を引っ張るためであっても常に録音されるリスクがあること、そうなれば明石市長のように一部を切り取って流布される可能性は十分あります。暴行はどんな事情があっても刑法犯であって、教師だけでなく学生であっても放置してはならないこと。そうした総合的ハラスメント対策を、組織人は自らのリスクとして強く認識しなければなりません。

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増沢 隆太

株式会社RMロンドンパートナーズ 東北大学特任教授/人事コンサルタント

芸能人から政治家まで、話題の謝罪会見のたびにテレビや新聞で、謝罪の専門家と呼ばれコメントしていますが、実はコミュニケーション専門家であり、人と組織の課題に取組むコンサルタントで大学教授です。 謝罪に限らず、企業や団体組織のあらゆる危機管理や危機対応コミュニケーションについて語っていきます。特に最近はハラスメント研修や講演で、民間企業だけでなく巨大官公庁などまで、幅広く呼ばれています。 大学や企業でコミュニケーション、キャリアに関する講演や個人カウンセリングも行っています。

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