自分のやりたい仕事が見つからない学生と、「素のままの」おっさん

2018.07.26

組織・人材

自分のやりたい仕事が見つからない学生と、「素のままの」おっさん

増沢 隆太
株式会社RMロンドンパートナーズ  東北大学特任教授/人事コンサルタント

いろいろな大学で進路指導やキャリアカウンセリングをしていて「自分のやりたい仕事がない」「自分がやりがいを感じる仕事(がある会社)が見つからない」ということに悩む学生にたくさん会います。キャリア「カウンセリング」では、カウンセラーである私が「これをやれば?」いう回答提示はしませんが、一緒に考えるお伴をしています。

そして理系だけでなく、文学や社会学など文系でも、就職ではそれなりに苦労する分野はあります。ちなみにひとところのような「文学部は就職が無い」説は、少なくとも上位校ならほぼ当てはまりません。いくらでも求人は来ています。

3.欲望か妥協か
まじめに勉強している学生には失礼なたとえかも知れませんが、おっさんの口説きと選択肢が少なめな学生の志望には共通項があるといえます。需給バランスです。絶対的に不可能というような、白か黒か、ゼロか100かの選択ではなく、自分の希望をそれに応える相手の存在のバランスで成り立つ希望ということです。

自分の目指すものや仕事、お付き合い、すべて自らの都合です。それに相手が応えるかどうかを見極め、現実的選択に収斂されていくのです。現実感のない欲望をおっさんが振り回しても、残念ながら応えてくれる人はいない可能性は高いでしょう。

モテたかったらものすごい努力してIT社長になるとか、あるいは自分自身が岡田真澄や草刈正雄並みの容姿を目指すとか、その願望実現への努力は欠かせません。それ抜きに「素の自分を好きになって」というのは手を抜きすぎ。ドン・ジョバンニではないただの中年男に寄って来る人はなかなかいないことでしょう。

自分の志望先が無いとか、希望する先がきわめて限られた数しかなく現実的に選択肢が足りないと感じている若者諸君。自分の希望をストレートに叶えるだけでなく、その希望に近付く努力は欠かせないのです。そして多くの人たちはそうした努力を限られた時間(在学中の就活期間)では無理と判断し、現実にできる選択を進んでいます。

夢をあらめる必要は全くありません。新卒の就活期間だけで夢が決まる訳でもありません。本意ではない勤め先でも、すごいがんばって成果を出したり上場会社を興せば、あなた方だっていつか夢はかなうでしょう。社会人になっていくというのは、こうして現実と夢のバランスを取っていく過程のように感じます。

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増沢 隆太

株式会社RMロンドンパートナーズ  東北大学特任教授/人事コンサルタント

芸能人から政治家まで、話題の謝罪会見のたびにテレビや新聞で、謝罪の専門家と呼ばれコメントしていますが、実はコミュニケーション専門家であり、人と組織の課題に取組むコンサルタントで大学教授です。 謝罪に限らず、企業や団体組織のあらゆる危機管理や危機対応コミュニケーションについて語っていきます。特に最近はハラスメント研修や講演で、民間企業だけでなく巨大官公庁などまで、幅広く呼ばれています。 大学や企業でコミュニケーション、キャリアに関する講演や個人カウンセリングも行っています。

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