シリーズ:マーケティングなんてカンタンだ!・間違いがちなフレームワークを総点検【第6回】そのポジショニングでは売れない!

画像: Charles

2016.05.18

営業・マーケティング

シリーズ:マーケティングなんてカンタンだ!・間違いがちなフレームワークを総点検【第6回】そのポジショニングでは売れない!

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

現代マーケティングの大家、フィリップ・コトラーは2004年刊行の「コトラーのマーケティングコンセプト」のポジショニングの項で、「マーケティングで最も重要なのはポジショニングである」と明言している。そんな重要なポジショニングにも誤った策定方法によって顧客に全く魅力が伝わっていないという例も散見される。

■ポジショニングはどれぐらい重要か?
コトラーは良好なポジショニングの例としてBMW・ボルボ・ポルシェなどを挙げている。一方、同じ自動車業界においてゼネラルモーターズ(GM)に関しては、ポジショニングが曖昧で、このままではダメになるという旨の指摘をしている。GMは2009年6月1日、連邦倒産法第11章(日本の民事再生手続きに相当する制度)の適用を申請した。正にコトラーが予見したとおりになったわけだ。
コトラーが指摘していたのは、GMの製品は何が魅力なのかが車種毎にバラバラで、顧客にどんな価値をもたらしてくれるのかが分散してしまっている点だ、つまり、「価値の軸」が定まっていなかったのだ。前出の3社は各々自社のポジションを以下のように示している。「BMW=究極のドライビングマシン、ボルボ=世界一安全な車、ポルシェ=地上最強の小型スポーツカー(コトラーのマーケティングコンセプトより)」。

■ポジショニングの役割とは
今日のようにものが満ちあふれ、多くの市場が飽和している環境で、自社の商品を選んでもらうということは並大抵の努力では実現できない。だが、例えばいくら卓越した超高性能な製品を完成させることができたり、それを信じられないぐらいの低価格で販売できる原価構造が実現したりしても、それをうまく顧客に伝えることができなければ、当然売れない。
ポジショニングとは、「顧客のアタマの中で商品を“価値あるもの”と認識させ、そのイメージを植え付けること」であり、その上で「競合との明確な差別化を図ること」である。前掲のBMWは「究極のドライビングマシン」というポジショニングを表す言葉から開発された、「駆け抜ける喜び」というキャッチコピーの方が有名かもしれないが、ともかく単なる移動手段ではなく、究極のドライビング体験が得られることが価値だと言っている。ボルボが安全性を追求してきたことにはあまり疑問を差し挟む余地はないだろうから、ボルボ=安全という価値は想起しやすいはずだ。ポルシェの場合、最強のスポーツカーならフェラーリとかの方が上じゃないかという意見もあるだろうが、ポルシェは「小型」という点にこだわっていて、「小さい」×「速い(高性能)」という価値を訴求し、並み居るモンスターマシンとも差別化を図っているのだ。

■一般的なポジショニング設定方法
BMWやボルボのような、たった一言で自社の価値を顧客の頭の中に刻み込めるのであれば、それはそれで結構なことなのだが、多くの場合そこまで価値や特徴を単純明確化することは難しい。また、競合となる存在と比べられるのも常だ。
故に、ポジショニングは2つの強力な価値の軸を用いて「ポジショニングマップ」を描いて整理する。前出のポルシェの場合の「小さい」×「速い(高性能)」もその例だ。二軸を使って顧客への訴求点を整理し、そこから4Pに反映していくのである。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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