社会的地位の高い人がハラスメント対応に失敗する理由

2018.04.25

組織・人材

社会的地位の高い人がハラスメント対応に失敗する理由

増沢 隆太
株式会社RMロンドンパートナーズ  東北大学特任教授/人事コンサルタント

セクハラ疑惑が持ち上がったことで辞任に至った財務省の福田次官。アメリカのMe Too運動など、ハラスメントに対する意識が急速に大きくなった現在。トップ官僚だけでなく政治家、社長などなど社会的に高い地位にある人がなぜ続々と「やらかす」のでしょうか。

これがエリートが踏んでしまう地雷であり、人間の心というロジックだけではとらえ切れないものへの対応の仕方がわからないゆえ事態を悪化させます。ハラスメントが問題になった後の対応を間違え、騒動をこじらせ、ついには辞任など大きなダメージにつながってしまう原因だと、私は考えています。

麻生財務大臣や財務省が「被害者が出てこい」と主張するのは、極めて論理的であるがゆえに全く問題解決につながらず、反発を強めて批判を大きくするだけになっています。ハラスメント対応は白か黒かの見極めをすることではなく、被害を受けたとされる側の心情をいかに救うかにあるからです。



4.非論理的対応にも長けた人は?
証拠どころか形もあいまいな存在を扱うにはロジックだけでは無理なのです。実際にあった対処事例では、被害者側の話を何時間もしっかりと傾聴し、その過程を通じて気持ちが癒え、結果として騒動が収まったということもあります。「被害が本当にあったのなら証明しろ」という態度の逆です。

こうした論理を超えた人間の感情の機微を上手に対応できる人がいれば、深刻な辞退を少しでも改善できるかも知れません。そもそもの原因となった事象においても、相手の心情をもう少し思いやることが出来れば、問題そのものが起きていなかったことでしょう。感情のような非論理的存在をもしっかり向き合えたのは、エリートというより苦労人の創業者だった人に多いようです。

松下幸之助が松下電器の労組結成式に登場して祝辞を述べたり、田中角栄が落選した議員に土下座をして生活資金を届けたといったエピソードは、すべて効率や論理ではない感情をつかむことに長けたリーダーシップだったと思います。今の自民党や中央官庁にはいないのだろうかと思いつつニュースを見ました。

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増沢 隆太

株式会社RMロンドンパートナーズ  東北大学特任教授/人事コンサルタント

芸能人から政治家まで、話題の謝罪会見のたびにテレビや新聞で、謝罪の専門家と呼ばれコメントしていますが、実はコミュニケーション専門家であり、人と組織の課題に取組むコンサルタントで大学教授です。 謝罪に限らず、企業や団体組織のあらゆる危機管理や危機対応コミュニケーションについて語っていきます。特に最近はハラスメント研修や講演で、民間企業だけでなく巨大官公庁などまで、幅広く呼ばれています。 大学や企業でコミュニケーション、キャリアに関する講演や個人カウンセリングも行っています。

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