パワハラ・セクハラ勃発!に際してのリーダーのあり方

2018.03.16

組織・人材

パワハラ・セクハラ勃発!に際してのリーダーのあり方

増沢 隆太
株式会社RMロンドンパートナーズ  東北大学特任教授/人事コンサルタント

国民栄誉賞受賞者で、前人未到のオリンピック4度金メダルという、最強女性アスリート・伊調馨さんが巻き込まれたパワハラ問題。アメリカを端緒とする“MeToo”問題も広がり、今やパワハラ・セクハラはどの組織でも起こり得る問題です。パワハラ・セクハラ問題でよく相談を受ける立場で、組織のリーダーが取るべき態度を考えます。

もちろん事実だとすれば完璧にアウトですし、その言い訳も全く正当化などできない無茶苦茶なものです。かつて塩村文夏東京都議に対し、自民党の鈴木都議が「お前が結婚しろ!」「産めないのか?」などヤジを飛ばした事件でも、鈴木氏は「誹謗するためではなく、少子化、晩婚化の中で、早く結婚をしていただきたいという思い」で発したと言い訳しました。市長の言い訳はこれと同レベルのあまりに稚拙すぎるものといえるでしょう。

大相撲を揺るがす暴行事件でも、責任を取って引退届を出した元横綱日馬富士関について、相撲協会の八角理事長は「(これまでの努力を評価しつつも)暴力は肯定できない。断腸の思いで引退届を受理した」と発言して批判されました。当然です。ここで挙げた組織のトップは、組織の危機と自分の思い入れの区別がつかないといえます。それではリーダーとして失格というべきでしょう。


4.トップリーダーの態度
トップがトップであるゆえんは組織の長としてのリーダーシップにかかっています。それは真の組織防衛ができるかどうかです。軍隊に代表される組織で上意下達が徹底されるのは、上官が常に部下の責任を負うからです。「部下が勝手にやりました」という無様な言い訳が通るような甘い軍隊はありません。

ハラスメント事件が起こった時は、自分の思い入れを表明するのではなく、少なくとも被害を訴えた人がいる以上、組織の長は「公正であること」を担保するのが何より大切です。自己の思いは引っ込め、適正に対処する組織であることこそ、リーダーが発しなければならない最重要メッセージなのです。

日本レスリング協会が第三者機関による調査を行うことは非常に大切なのですが、その前に栄氏擁護の発言をしてしまったことで、せっかくの第三者調査への信頼が揺らいでしまいました。「ハラスメントがあった・無かった」は絶対に軽々に発言してはならないのです。こうした事態を重大に受け止める組織であることを表明し、そのためには公正を期すために内閣府にお願いして、第三者調査委員会を立ち上げる等適正な手段を主導できることが、あるべき姿だったと思います。

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増沢 隆太

株式会社RMロンドンパートナーズ  東北大学特任教授/人事コンサルタント

芸能人から政治家まで、話題の謝罪会見のたびにテレビや新聞で、謝罪の専門家と呼ばれコメントしていますが、実はコミュニケーション専門家であり、人と組織の課題に取組むコンサルタントで大学教授です。 謝罪に限らず、企業や団体組織のあらゆる危機管理や危機対応コミュニケーションについて語っていきます。特に最近はハラスメント研修や講演で、民間企業だけでなく巨大官公庁などまで、幅広く呼ばれています。 大学や企業でコミュニケーション、キャリアに関する講演や個人カウンセリングも行っています。

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