実践コンセプチュアルスキル[2]~本質の一(いち)をつかめ

画像: frontriver

2018.02.02

仕事術

実践コンセプチュアルスキル[2]~本質の一(いち)をつかめ

村山 昇
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

ロバート・カッツが半世紀以上も前にその重要性を指摘したコンセプチュアルスキル。このシリーズは、物事の本質をとらえる抽象化・概念化の思考をどうみずからの仕事や事業、キャリアに生かすかを考えていきます。



◆「on=~の上に」ではない!?

私たちは日々、事業の現場で雑多な情報や状況に対処しながら仕事を進めています。そのときに、物事を抽象化してとらえる能力はきわめて重要です。それは目の前の課題を処理する直接的な知識や技術よりも重要かもしれません。なぜなら、物事を個別具体的にとらえるレベルに留まっていると、永遠に個別具体的に処置することに追われるからです。そのことを次の例で押さえてみましょう。

下に並べたのは英単語の問題です。カッコ内に入る適当な前置詞はなんでしょう? 1つ1つ答えてください。

・a fly[    ]the ceiling (天井に止まったハエ)

・a crack[   ]the wall (壁に入ったひび割れ)

・a village[   ]the border (国境沿いの町)

・a ring[   ]one’s little finger (小指にはめた指輪)

・a dog[   ]a leash (紐につながれた犬)


……さて、どうでしょう。

正解は、すべて「on」です。ところで、私たちは前置詞「on」を「~の上に」と習ってきました。習ってきたというか、暗記してきました。

そうした暗記的なやり方で英語と接してきた人は、「天井にさかさまに止まった」とか「壁に入った」とか、「国境沿いの」などの言い表しと「on」が直接的に結びつかないので、それぞれの問題にすぐさま「on」が思い浮かばなかったでしょう。そして正解を見た後に、「そうかonだったか」と言って、また1つ1つ丸暗記していくことになります。

これに対し、いま私の手元にある一冊の英和辞典『Eゲイト英和辞典』(ベネッセコーポレーション)の帯には、こんなコピーが記載されています───

「on=『上に』ではない」と。

さっそく、この辞書で「on」を引いてみる。すると、そこに載っていたのは、下のような図でした。


「on」は本来、縦横・上下を問わず「何かに接触している」ことを示す前置詞だというのです。確かにこの図をイメージとして持っておくと、さまざまに「on」使いの展開がききます。

この辞典は、その単語の持つ中核的な意味や機能を「コア」と呼び、それをイラストに書き起こして紙面に多数掲載しています。10個の末梢の使い方を暗記するより、1つの中核イメージを頭に定着させたほうがよいというのが、この辞書づくりの狙いなのです。まさにこの「コア」に基づく単語学習が、物事を抽象化して把握することにほかなりません。

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仕事・事業に新しい概念の光を入れる『実践コンセプチュアルスキル』

村山 昇

キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。

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