実践コンセプチュアルスキル[4]~名言を咀嚼して図化する

画像: Sig.

2018.08.20

仕事術

実践コンセプチュアルスキル[4]~名言を咀嚼して図化する

村山 昇
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

ロバート・カッツが半世紀以上も前にその重要性を指摘したコンセプチュアルスキル。このシリーズは、物事の本質をとらえる抽象化・概念化の思考をどうみずからの仕事や事業、キャリアに生かすかを考えていきます。

一般的に、情報をビジュアル化するというと、データ(数値情報)を図にする───例えば、企業の経営指標となる諸数値をインパクトのある形でグラフ化して見せることであったり、ある企業のビジネスモデルはこのような形であるとサービスやお金の流れをフロー図にして見せる───ことだったりします。


そうした図よりも、もっと、概念・本質の表現化に迫っていくのが「コンセプチュアル思考」のモデル化です。

例えば、次の言葉を図化してみましょう―――?

「私たちは仕事によって、望むものを手に入れるのではなく、
仕事をしていくなかで、何を望むべきかを学んでいく」。

───ジョシュア・ハルバースタム 『仕事と幸福そして人生について』

こうした含蓄のある名言を図に表わす演習が「コンセプチュアル思考」的な訓練です。これをお読みのあなたも、いったんここで画面から目を離し、自分ならこの言葉をどう図化するかをやってみてください。

もちろんこの問いに唯一の正解はありません。第一に、この言葉をどう、そしてどんな深さで咀嚼するか。第二に、咀嚼したものをどう図に描くか。「コンセプチュアル思考」のモデル化の演習でもかなり難度の高いものになります。

では、私が描いた作例図を紹介し、所感を加えます。



働くことの先にある目的は何か?

ハルバースタムは、米・コロンビア大学で哲学の教鞭を執る人物だけあって、彼から発せられたこの言葉は実に味わい深い表現です。

2つの仕事観を並べて描きました。1つめの仕事観Xは、「望むものを手に入れる」ことを目的にする考え方です。洋服、バッグ、腕時計、料理、家、クルマ、レジャー、ステータス、成功者の雰囲気、私たちはいろいろなものが欲しい。より多く、より高級なものを望むには、より多くのお金がいる。そのため仕事観Xは必然的にお金を多く得たいという欲望と直接結びついています。そして「働くこと」は手段として置かれる。

2つめの仕事観Yは、「何を望むかを学んでいく」ことが目的です。このとき、学んでいくプロセスはまさに「働くこと」そのものに内在しているので、「働くこと」は手段ともなり目的ともなります。そのプロセスに自己を投入することがおもしろいし、やりがいもある。で、気がつくと、お金がもらえていた。それが仕事観Yの特徴です。

仕事観Xと仕事観Yとを立て分けて、どちらがよいわるいとか、浅い深いとかいう問題ではありません。人はどちらの考え方も持っています。ただ個人によってその比率が違うだけです。また、同じ個人の中でも人生の局面によって比率が変わってくるものです。

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村山 昇

キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。

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