探している本がない!そんな時は…。ジュンク堂書店の「大切な約束」

2017.12.18

経営・マネジメント

探している本がない!そんな時は…。ジュンク堂書店の「大切な約束」

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南青山リーダーズ株式会社

全国に大型書店を展開する丸善ジュンク堂書店会長(※)の工藤恭孝氏。業界の常識をかえりみず、神戸に大型書店を開くも、工藤氏は大きな挫折を味わう。「自分ではレジも打てない、お客さんが探す本を棚から見つけ出せない、現場では役に立たない社長」と話す工藤氏は、自由な発想で成功に導いてきた。 工藤氏の大型書店、本への思いを文化放送『The News Masters TOKYO』のパーソナリティー・タケ小山が聞く。 (※収録当時は社長。11月1日付で会長に就任されました)

ジュンク堂書店が「大型店であること」にこだわる理由とは?

「現場では役に立たない社長だ」と公言してはばからない工藤氏であるが、経営者としては次々に大きな変革を書店業界に起こしている。今では当たり前になっているPOSシステムを書店業界で初めて開発したのも工藤氏だ。

「ファミリーレストランで友人と朝ご飯を食べていた時、ウェイトレスの方が注文を取った後で小さな機械から注文票を印刷しているのを見て、これは本屋で使える!と、そう思ったんです」

同席していた友人の中にそういった機械に詳しいものがいたこともあって、その後一か月で開発に成功した。

それまでは、書店員の負担が大きかった。本に挟まれているスリップと呼ばれる紙を集めてデータを読み取って、さらにノートに書いていく。非効率で時間もかかる。スリップを読み取る機械を導入している書店もあって見学もしたが、費用や設置場所などの点で導入は難しいなと感じていた。

「頭の中がスリップのことでいっぱいの時期だったんです」

そんな工藤氏だったからこそ、ファミリーレストランでのふとした瞬間に「これだ!」というひらめきを得ることができたのだろう。

大型書店であることにも特別の思い入れを持って展開を続けている。その理由を工藤氏は「どこに行っても、ここにしかないという店をやっている方が喜ばれるから」と、沖縄での大型書店開店の際のエピソードを聞かせてくれた。

「それまで沖縄には、大型店は無かったんです。オープン初日にはたくさん人が詰めかけて、レジが一時間待ちとなるくらいの行列ができました」

その様子には現地の人たちも驚いて「沖縄で、こんなに人が並んでいるのを初めて見ました」なんて声も聞かれたそうである。
当時、沖縄の書店への雑誌の配送は船便だったので書店に並ぶのは発売日から5日遅れになることもあると知って、工藤氏はすぐに経済誌はエア便で送るという決断をしている。

「これでまともに本が買えるようになった」と喜ぶ人たちの顔を見て、大型店をやっているからこその嬉しさをひしひしと感じた。「感謝される仕事というのは、嬉しいものです」

「大型書店を日本全国の各地域に作っていこう、残していこう」。その想いの強さが、丸善との経営統合の道につながった。

街の本屋さんが無くなって無書店地域になってしまった自治体が全国で増え続けているというニュースに工藤氏は心を痛めている。

「本が手軽に手に入らない地域ができてしまっている。街の本屋さんを復旧させないといけないし、コンビニでもいいから本を置いてほしいと思います」

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