今回は、日本人なら誰もがお世話になる豆腐業界。そこに『ザクとうふ』『飲むとうふ』など、これまでにない商品を開発・販売し、業界に革命をもたらした相模屋食料の中心人物である、相模屋食料社長・鳥越淳司氏。タケ小山が、豆腐業界の今、そして様々な豆腐革命の神髄に迫った。
雪印から相模屋へ。
タケ:
相模屋に入社されますが、豆腐業界に入って感じたことは?
鳥越:
思っていたイメージと同じでした。豆腐業界にいる人たちは、“これ以上やってもしょうがない”“何も変わらない”と悪い意味で誤解をしていて、モチベーションが低かった。輝かしい未来も無いし、いかに今より落ちないようにするかという雰囲気だった。
業界への新参者・鳥越社長に対し、他の豆腐メーカーの社長からも「ここでは何もしないことが良いんだよ」と言われた。
タケ:
それを聞いてどう思いましたか?
鳥越:
何を言っているんだ?と。でも豆腐価格が落ちていって、価格競争にさらされ、ウチは潰れそうだとか、そういう企業ばかりだから、そういうイメージになるのもしょうがないですね。
しかし、ここからが違ったのだ。後ろ向きなイメージが蔓延するこの豆腐業界にて、自分が「やれるぞ!」と思えば面白いことになるのではとも思った。
そこで、最初は豆腐作りを基礎から学んだのだ。鳥越社長は元々、雪印乳業で営業を担当。相模屋食料に来てからは製品と販売両方をやった。このキッカケになったのが「雪印食中毒事件」。大阪に「お詫び行脚」に行き、お客様からの「なんでこうなったの?」という質問に、製造上でのリスクなどを知らなかったために答えることができなかった。
鳥越:
モノづくりの会社の営業マンがモノの作り方を知らないというのはあってはならないですから。
機動戦士ガンダムファン垂涎の『ザクとうふ』はこうして生まれた。
鳥越:
ザクとうふは、ある意味、自分へのご褒美だったんです。相模屋食料の工場も拡張し、基本的な事業は良い状態に来たっていうことなので。
そこで誕生したのが『ザクとうふ』。言わずと知れた、人気アニメ『機動戦士ガンダム』に登場するキャラクター・ザクの頭部の形をした豆腐なのだ。
反響が大きかったのは鳥越社長と同世代の40代男性。朝9時半からスーツでスーパーに行き、かごの中に『ザクとうふ』だけを沢山いれて帰っていくという珍妙な光景を見たのだという。最初、スーパーのバイヤーに「ザクとうふ」を見せた時、ガンダム好きな人は「おお!!」と盛り上がってくれたが、知らない人からは「鳥越さん、もっと真面目にやったら?」と言われたそうだ。当然、そこに馳せる思いも強烈。
鳥越:
これは、ザクの一番かっこいいシーンを再現しているんです。ザクはジオン軍のスペシャルな機体。
タケ:
ガンダムの頭でも良かったんですよね?
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