コーチング、NLP理論は人を操るための技術か?

2008.02.15

組織・人材

コーチング、NLP理論は人を操るための技術か?

伊藤 達夫
THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役

 「コーチング」は、ビジネス書コーナーでは、流行というよりは、定番となった感があります。「言うことを聞かない部下に言うことを聞かせてやるぞ!」と思ってコーチング本を手に取る方もいらっしゃるでしょう。

 そして、3人の敏腕セラピストの治療をベンチマークした結果、彼らがとっているコミュニケーションの方法に共通点が見られ、ユニークかつ強力だったんです。そして、いろいろな知見が得られました。

 アウトカムフレーム、メタ・アウトカム、カリブレーション、ベーシング、バックトラッキング、アンカリング、アイアクセシングキュー、VAKシステム、代表システム、などが代表的な知見です。

 ざっくり説明しますと、コミュニケーションの対象は、必ずなんらかのポジティブな結果(メタアウトカム)を得たいと思っているという前提に立ちます。

 だから、相手の求める結果にフォーカスする(アウトカムフレーム)。現在のネガティブな行動の原因にはフォーカスしません。

 部下が反抗的でも、必ずポジティブな結果を得たいと思ったうえでの行動と理解するということですね。

 その上で、コミュニケーション対象をしっかり観察(カリブレーション)します。

 人は、視覚、聴覚、体感覚の3つの感覚で相手を理解し(VAKシステム)、人によって、偏りがあります(代表システム)。視覚を中心に理解する人もいますし、聴覚が中心の人もいます。

 だから、相手が何を求めているのか(メタアウトカム)、どんな認識が得意なのか(代表システム)を理解して、自分と相手に共通のゴールが何か?を認識する。

 その際に、人は敵の言うことはききません。自分は味方なんだ、ということを相手の無意識に伝えるために、相手のリズムにあわせて(ベーシング)、相手の言うことを受け取っていることを伝える(バックトラッキング)。

 そして、Win-Winなコミュニケーションをとりましょう、というお話しですね。

 ごめんなさい、長いです。でも、ざっくりとはこんな感じです。

 そうか、こうすれば、「部下に言うことを聞かせる」、「素敵な女性の電話番号をゲットする」ができるんだな、よし、この技術で相手を操ろう!

 

ちょっと待ってください。

 この体系の全体像を聞いた後では、「相手を操る」は少し変な気がしませんか?

 結局、この体系は、人が望むことをしてあげましょう、そうすれば、相手とのコミュニケーションがうまくいきますよ、というすごく当たり前なことを主張しているだけなのです。

 各論としての、コミュニケーション技術はあります。でも、その根本は何か?

 

「相手を思いやる」という心ですね。

 自分の都合に端を発して、コミュニケーションを取りに行くのではなく、相手のことを思いやって、コミュニケーションを取る。

 相手が言うことを聞かないのは、あなたが自分の都合に端を発して話しているからではないでしょうか?と思うんですね。

 この技術を駆使しても、相手を操ろう、という前提に立つとあまりうまくいきません。「こんな技術使えないよ」、と言っている本も最近ではありますね。

 でも、こういった理論を学ぶことの意味は、「相手を操る」ことではないと思います。「相手を思いやれる自分を創る」ために、学ぶんですね。

 コーチング、NLPは「相手を操る技術」ではなく、「自分を変えるための技術」だと私は思います。

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伊藤 達夫

THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役

THOUGHT&INSIGHT株式会社、代表取締役。認定エグゼクティブコーチ。東京大学文学部卒。コンサルティング会社、専門商社、大学教員などを経て現職。

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