「大事なのは、勝ち方を知っていること」ネスレ日本社長が語るリーダーの資質

2017.10.25

経営・マネジメント

「大事なのは、勝ち方を知っていること」ネスレ日本社長が語るリーダーの資質

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南青山リーダーズ株式会社

大学卒業後、外資系企業のネスレ日本に新卒で入社し、トップまで上り詰めたネスレ社長の高岡浩三氏。父親も祖父も42歳でこの世を去ったことを知り、42歳という年齢をゴールとして意識するようなったという。実力主義の外資系で、ブランドでたくさんの人を幸せにできる仕事がしたいと考え、ネスレ日本に入社。40代になると「キットカット」を担当。しかし、CMを打っても売り上げが伸びる時代ではなく、考えた末に誕生したあの有名なフレーズは、強力なブランドイメージを作り上げた。今回は、高岡社長が考えるリーダーの資質と新しいビジネスが生まれる理由についてタケ小山が迫った。

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21世紀のイノベーションとは~「ネスカフェ アンバサダー」という挑戦

目標の一つとして「マーケティングを広めるために力を尽くしたい」と高岡氏は考えている。「これは、社会に対する貢献という分野での目標です。日本は今後、少子高齢化によって国の力は縮小していくことになる。しっかりと稼ぐ方法をマーケティングから学ぶことが必要だ」という。

「ネスカフェ アンバサダー」という業界の枠を超えて大きな話題となったイノベーションを起こし、大成功を収めたプロジェクトを立ち上げたのも、高岡氏である。

「ネスカフェは大きなブランドに育ち、カテゴリー内シェアは70%を占めるまでになったが、これ以上拡大するのは難しいだろうと思った」

また、家庭では多くのひとに飲まれている「ネスカフェ」が、一歩外に出ると会社やレストランではほとんど目にしないということにも気づいていた。当時、ネスレには、一杯ずつのカプセルに入ったコーヒーと、それを抽出するマシンがすでに商品としてあった。「このマシンをオフィスに置いていただければ、缶コーヒーよりも安い価格でおいしく、かつ手軽に飲んでもらえる」と高岡氏は考えたが、問題はその仕組みの構築だった。


ここで、日ごろから考え、学び続けていたマーケティングが大いに活きることとなった。

オフィスに1人、「ネスカフェ アンバサダー」という立場の人を作り、その人にマシンのメンテナンスやコーヒーカプセルの定期購入、代金の徴収・支払いなどをお願いする。「ただ、給料も払わずにそんなことをやってくれる人がどのくらいいるのか、全く読めなかった」ので、「北海道でテストを行いました」。

その結果は驚くべきもので、1週間で1500人の応募があった。なぜ、無給で面倒なことを引き受けてくれるのか?

その理由の大きな一つが「みんなから感謝されるのが嬉しい」。それによって、わかったことがある。「自己実現を求めている人がこんなにも多い」ということである。

マーケティングの神様的存在フィリップ・コトラーが言うところの「自己実現の欲求を満たしていく」ということに、ビジネスモデルがつながった瞬間だった。

現在では30万人を超える「ネスカフェ アンバサダー」がいる。単純計算で、約500万人以上が毎日「ネスカフェ」をオフィスで楽しんでいることになる。「オフィスでのコミュニケーションが活発になって雰囲気が良くなったというようなお話もいただきます」と嬉しそうに語る高岡氏は「21世紀はインターネットで解決する時代です」と続けた。「今という時代が抱えている問題をインターネットで解決していくことを考えないといけない」。

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