「ナベツネへの手紙」が人生を変えた。小林至氏が考えるプロ野球とスポーツ経営学

2017.09.29

経営・マネジメント

「ナベツネへの手紙」が人生を変えた。小林至氏が考えるプロ野球とスポーツ経営学

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5月某日。スーツに身を包んだ大柄の男が、東京・浜松町にある文化放送に到着した。彼の名は、小林至。25年前、東大から千葉ロッテマリーンズに入団。後に福岡ソフトバンクホークスの役員を務めた男でもある。タケ小山の第一声は「よーお!いたちゃん!」。馴れ馴れしいのもそのはず。タケ小山と小林至さんはアメリカのケーブルテレビ局「ザ・ゴルフ・チャンネル」で苦楽を共にした元同僚なのだ。 千葉ロッテマリーンズから退き、アメリカに渡った小林至さん。コロンビア大学で「ファイナンス&インターナショナルビジネス」のMBAを取得した。アメリカの地で彼が見たもの、日本のプロ野球に必要なことを聞いた。

メジャーリーグと日本球界の違い

「21世紀になり成長するMLBに対して、巨人戦ビジネスにぶら下がっていたセ・リーグと、ぶら下がることが出来ないパ・リーグ」

本場メジャーリーグを目にして小林さんはそう強く感じたという。

少なくとも2002年の球界再編までは。この頃になると、新球団を立ち上げる動きが出たり、ダイエーが産業再生機構に入るなど、大きな波がいくつも起き始めていた。プロ野球のビジネスの裏側に脚光が当たり始めた。そんな折に小林さんは書籍を執筆した。

「プロ野球ビジネスはこうあるべきであるという経営入門の本を書こうとしました。それで当時巨人オーナーの渡邉恒雄さんにインタビューを申し込んだ。タイトルは『合併、売却、新規参入。たかが…されどプロ野球!』(宝島社)でした」

渡邉氏が当時批判されていた『たかが選手』発言を揶揄したようなタイトルであった上に、当時は一切取材を受けない姿勢を貫いていた渡邉氏。だが、小林さんは2日間徹夜して、熱意を込めて手紙をしたためたところ、取材を受けてもらえることになったという。この手紙が彼の人生を大きく動かした。

渡邉恒雄さん、孫正義さんとの出会い!

タケ:
何のコネもなく?

小林:
最初、正規ルートで取材を申し込んだんですけど、断られました。ただ、手紙を書くと渡邉さんは、読むって話を聞いたんですよ。

タケ:
凄いな、この話!


その後、渡邉氏と取材で面会することに成功した小林至。あらゆることを教わったという。

小林:
“たかが”っていうとても失礼なタイトルつけちゃったんですよ。でも一番嬉しかったのは、そういったタイトルにも関わらず、渡邉さんが“よく分析できている”と言って200冊買い上げてくれて、たくさんの人に配ったことです。


その時に配っていた人の一人が、球界参入直前だったソフトバンクの孫正義社長だった。渡邉氏が孫社長に「直接、こういった人がいる」と紹介したのである。

タケ:
で、会って、なんて言われたの?

小林:
“経営手伝ってくれ”と。

ソフトバンクホークスで最初に取り組んだこと

1通の手紙が、取材拒否の渡邉恒雄氏を動かし、さらに孫社長にそこまで言わしめ、その上福岡ソフトバンクホークスの取締役に就任。とんとん拍子の展開にタケ小山も驚くばかりである。

最初に手を付けたのは「クラブチーム世界一決定戦」に向けた取り組みだったという。

『孫王攘夷(そんのうじょうい)』という、孫さんと王(貞治)さんが球界を変えるというキャッチフレーズの元に「クラブチーム世界一決定戦」を打ち出し、そのMLBとの交渉役を担った。

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