「長寿企業は日本の宝」 日本経済大学大学院特任教授 後藤俊夫 -世界が注目する日本の「100年企業」の研究と発信に奮闘-

2017.09.26

経営・マネジメント

「長寿企業は日本の宝」 日本経済大学大学院特任教授 後藤俊夫 -世界が注目する日本の「100年企業」の研究と発信に奮闘-

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日本ではファミリービジネスに対するイメージはあまりよくないのが現状だ。しかし、長年の研究から「100年潰れない長寿企業のほとんどがファミリービジネス。業績も優秀で、世界がその経営に注目している。『国の宝』というべきものだ」と喝破する学者がいる。 一般社団法人「100年経営研究機構」の代表理事も務め、国内外の長寿企業を分析し、社会に還元する活動に精力的に打ち込む後藤俊夫さんに「100年企業の秘密」について話をうかがった。(聞き手 仙石実・南青山グループCEO・公認会計士・税理士・公認内部監査人/構成・株式会社フロア)

企業の最大の目的は、次の代に事業を継承することですが、ファミリービジネスでは、特にその意識が強い。250万社あるファミリービジネスが目標とするところが、2万5,000社ある長寿企業といえます。また、200年以上の企業の数では、日本が世界の4割を占めます。100年企業では約35%です。両方とも世界で最大です。

仙石)以前に京都に行ったときに「100年経たないと老舗じゃない」という話を聞いたことがあります。やはり、100年というのが老舗の定義になるのでしょうか。

後藤 「老舗」という言葉には、それなりの歴史とイメージがついてきます。単に長さだけではなく、長さが生み出す「信用」とか「価値観」が含まれています。創業から3代続くことが難しく、逆に3代続くと4代目以降に続く可能性が高まるので、100年を定義にしました。

時代を超えて息づく石田梅岩の思想

仙石)老舗というのはある意味、のれんのような目に見えない無形資産、つまり「ブランド」が引き継がれてきたということなのですね。私も老舗企業の社長と話をする機会が時々ありますが、しばしば、江戸時代の思想家、石田梅岩の話になります。

後藤 それは日本の長寿企業を支えている思想的なバックボーンに、石田梅岩が唱えた「石門心学」の存在があるからでしょう。石田梅岩が生まれたのは8代将軍の吉宗の時代。元禄バブルが弾け、世はデフレのまっただ中でした。吉宗は「享保の改革」を断行します。豪商たちは見せしめのために、潰されることもありました。そんな危機感の中、商人たちは、どうやって次の代に商売を継げばいいのかを探し求めていたのです。

石田梅岩が心学を提唱したのはまさにその時期でした。「私利私欲のための事業ではダメだ。いかに公の欲、公欲のための事業を営むべきか」という主張は、時代が求めていた答えでした。心学はやがて全国に流布し、各家庭では、それに基づいた「家訓」が作られていきます。多くの経営者の方々が、石田梅岩のことを口にするのは、そうした背景があるからだと思います。

仙石)バブルが崩壊してデフレになり、いろんな企業が淘汰される一方、社会に求められる企業だけが継続していくのは現代も同じですね。

社会が求める企業だけが続く理由

後藤 その通りです。「社会に求められる企業だけが継続していく」ということについて、私は3つのことを申し上げたいと思います。まず今、ハーバード・ビジネススクールをはじめとして米国では、「公益資本主義」(パブリックマインディッドキャピタリズム)という言葉が重要なテーマとして語られるようになりました。それは、従来の米国型の金融資本主義、すなわちウォールストリート型の資本主義に対する反省です。

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