古紙偽装、紙にならなかった古紙はどこに?

2008.02.13

経営・マネジメント

古紙偽装、紙にならなかった古紙はどこに?

川渕 健二

先月中旬、いっせいに報じられた古紙含有率偽装問題について。

大手製紙会社が、再生紙の古紙含有率を偽装していた、という問題。

そもそも、古紙率の高い紙のほうが、高いのだろうか、安いのだろうか。

もし、高いのだとすれば、買ったほうは被害者である。

ホントは安いものを、高く売りつけられたわけだから。

断固抗議すべし、断固損害賠償を要求すべし。

もし、安いのだとすれば、話は難しくなる。

買ったほうは、ホントは高いものを、安く手に入れたわけだから。

「いや、その場合も、買ったほうは被害者である」という場合、それは、精神的被害ってことになるんだろうか。

「古紙率100%の再生紙を使っております」と胸を張って言っていたのに、実はそうじゃなかった、と

いうとき、その、今まで胸を張っていた人は、どんな気持ちになるか。

まず何よりも、たまらなく恥ずかしい気持ち、そして、そういう恥ずかしさを感じさせた相手への激しい怒り、だと思う。

ところで、古紙含有率だが、数%表示とは違った、という程度なら、製紙会社のトップもなかなか実態を把握できないだろう。

しかし、偽装は数%どころではない。

1年間に会社が仕入れた古紙の量×新しい紙となる率(歩留まり率?)と、1年間に会社が生産した紙の量×表示の古紙含有率、という2つの数字を並べてみれば、

「あれ? これだけしか古紙を仕入れていないのに、なんでこれだけの古紙含有率の紙を生産できるわけ?」

と、不自然さにすぐ気づくはずだと思うのだが。

あるいは、その数字自体は不自然にならないよう、現場の判断で古紙を仕入れるだけはしていたのかもしれない。

しかしその場合も、古紙じゃないパルプの仕入れは必要で、

「これだけ古紙やら、(古紙じゃない)パルプやらを仕入れているのに、なんでこれだけの量しか紙を生産できないのか? 生産性が低すぎるのではないか?」

という不自然さに気づくはず。

というわけで、製紙会社のトップの人、この問題は「現場が勝手にやった」とは言えないでしょうね。

さて、一応古紙の仕入れだけはしていた、という場合、さらに問題となるのは、仕入れるだけ仕入れた古紙が、一体どうなったのかということ。

ひょっとして、燃やしてしまったのかな。

燃やすものをわざわざ購入していたなんてことになると、モノ言う株主さんがいたりしたら、激しく突き上げられるだろうなあ。

あ。他にも、状況を把握できる立場の人たちがいた。

何年かに1回、査察に入る国税局の人たち。

「この仕入れで、この生産量というのは、おかしいのではないか? 帳簿上だけの仕入れで、経費を水増しし、利益を圧縮して、税金逃れをしているのではないか?」

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