裕太氏の謝罪では済まない「高畑家」の危機管理

2016.09.13

組織・人材

裕太氏の謝罪では済まない「高畑家」の危機管理

増沢 隆太
株式会社RMロンドンパートナーズ 東北大学特任教授/人事コンサルタント

女性暴行事件の容疑者だった高畑祐太氏が不起訴となり、その謝罪?がマスコミの前で行われました。しかしその模様の異様さから、不起訴にもかかわらず反発も呼んでいます。危機対応の視点から見て、この件の扱いは裕太氏だけではなく、女優の母・高畑淳子さんを含めた「高畑家」の問題として取り組む必要があります。

・異様な謝罪?
弁護士に付き添われてマスコミの前に現れた裕太氏は、絶叫するかのようなお詫びと30秒を超える深いお辞儀、そして睥睨する目つきなどで異様な印象を残しました。筆者はこの時の映像を何度も見ましたが、やはりお詫びというにはあまりに異様な雰囲気に違和感しか感じません。

この件でテレビ局の取材を受け答えたのは「少なくとも謝罪としては成り立たない」というコメントです。常に申し上げているのはお詫びの言葉を並べることが謝罪ではなく、それを受け止める人、たとえばテレビを見ている視聴者やファンなどが「謝罪をしている」と感じて、受容できるようになることが謝罪なのです。

刑事事件として取り扱われた本件では、被害者の方もいました。本来であれば一番傷ついたのは被害者であり、それ以外の人など比べものにならないほどお詫びをする必要があります。しかしこうした暴行事件では、かえってそれがセカンドレイプのように被害者に不快を与える恐れもあり、少なくとも一方的な謝罪で済む問題ではありません。

「(謝罪)相手のことを考える」のは謝罪の基本中の基本ですが、謝罪を自分のために行ってしまうことは意外に多いのです。「自分のため」とは自分自身が罪の意識から解放されたいとか、スキャンダルから逃れたいなど、不都合な環境の改善を求める欲望です。


・危機は裕太氏ではない
刑事事件にまでなったトラブルですから、事件そのものが危機ではあるのですが、危機に陥った時、人間は当然うろたえ動揺し、冷静な判断力を失います。そんな時に周囲が支えることが何より重要で、今年相次いでいる謝罪騒動では芸能人などの場合、所属事務所がこの役割を負うべき主体になります。

当事者ではない事務所が、少しでも冷静な目で今起こっている危機を把握し、その危機から逃れる手を打つ必要があります。そのためには「何が危機なのか」をしっかり把握しなければなりません。この件ではもちろん裕太氏が張本人です。しかし世間が注目したのは決して高畑祐太氏という俳優ではないでしょう。大物女優である、母・高畑淳子さんがあっての裕太氏であり、大女優であるがゆえに子供を甘やかした、お金でかたをつけたなどのネガティブな声が蔓延することは目に見えています。

つまり裕太氏の扱いはもちろんですが、同時にその火は母・敦子氏にも類焼しています。実際淳子氏自身が記者会見で1時間を超える質疑応答に応じました。大物女優であるがゆえに子供としても注目され、それが仕事につながったのは事実でしょう。その子供が事件を起こした以上、当然母親にも目が向けられます。この事態の収拾は裕太氏単独では成り立ちません。高畑母子、高畑家の危機としてとらえなければならないなのです。


・ゴール設定
異様な謝罪会見のようなものを行った裕太氏ですが、不起訴となった以上、犯罪ではありません。弁護士からも話す内容については打ち合わせや指導があったことでしょうが、その後発表されたコメントでは、あたかも合意であったかも知れないなど、相当に踏み込んだ表現がありました。

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増沢 隆太

株式会社RMロンドンパートナーズ 東北大学特任教授/人事コンサルタント

芸能人から政治家まで、話題の謝罪会見のたびにテレビや新聞で、謝罪の専門家と呼ばれコメントしていますが、実はコミュニケーション専門家であり、人と組織の課題に取組むコンサルタントで大学教授です。 謝罪に限らず、企業や団体組織のあらゆる危機管理や危機対応コミュニケーションについて語っていきます。 大学や企業でコミュニケーション、キャリアに関する講演や個人カウンセリングも行っています。

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