お客が喜ぶクーポンの活かし方

2008.01.31

営業・マーケティング

お客が喜ぶクーポンの活かし方

横井 真人
産業能率大学 教授

また行きたくなるレストランや店って何が違うのでしょう?語り尽くされたテーマではありますが、結構お客様は感情で評価をしています。こんな経験はありませんか。

今日昼食を食べに同僚4人と会社を出ました。
ふと目を上げると、
見たことの無い中華料理店の看板が見えるじゃないですか。
行って見ますか、といそいそと入りました。
聞けばオープンは先週金曜日。
今日は水曜ですから開店ほやほや。

弊社は神楽坂という都内有数の飲食店街にあります。
その分競争も厳しい土地です。
老舗と新規参入組み、地元とチェーン店が入り乱れ、
数ヶ月で撤退する店だってあります。

先月にも近所に中華料理店がオープンし、
そこの売りはご飯とデザートがセルフサービスでお変わり自由というもの。
味は本格的で値段もランチで1000円。星三つです。

さて、今日入った店は更に先を行き、
ご飯、デザート、副菜3品、スープまで食べ放題で
主菜はオーダーというセミバイキング形式でした。
味もマアマアで及第点。
同僚の若手はシュウマイを6個も食べ大満足。
値段も980円!
お店の人もぎこちなさを滲ませながらも
バイキングテーブルでご飯をよそってくれたり、それなりに気を使ってくれます。
「結構いいかもね」とささやきつつ、
満腹になって支払いカウンターまで行くと
「開店記念キャンペーン」のチラシが目に入りました。
チラシの下には100円引きのクーポンがついてます。
チラシを見ていると、「お一人980円です」とお店の人。

1000円札を出しながら、
「でも今キャンペーン中ですからチラシがなくても
100円引きでいいですよって、言えばいいのに・・・いや、言って欲しいぃ」
と心の中でつぶやくあさましい自分がいました。

キャンペーンは新規開店に一気に来店客を増やすための施策です。
100円引きにつられてより多くの人に来てもらうのが目的でしょう。
でももっと大事なのは、そこでお店を好きになってもらって、
また来てもらうことです。
飲食店は固定客がついてこそ売上が安定します。

我々はチラシなしで来店した客ですが、
再来店の可能性を上げるための100円引きは、
最終目的としては来店を促すための100円引きと
同じ投資価値があると思うのですが・・・、
レジの人はそこまで気が回らなかったのでしょうね。
あるいは100円引いて欲しいと思うのは私だけなのでしょうか?

店を出た後の同僚の一言。
「惜しいよね、もう一押しできたら全然店の印象が変わるのに、
これからが大変だね。味・値段・雰囲気・サービスと
全部揃ってないとここでは生き残れないからなぁ」

クーポンを持っていなかったので値引きがないのは
しょうがないのですが、何か損をしたと思ってしまうのは
私だけではなかったみたいです。
いい線までいったのに・・・最後の一手でオセロの
盤面が白から黒にダダダッと変わってしまったようなものです。
それもたかだか100円で。

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横井 真人

横井 真人

産業能率大学 教授

個人と組織のパフォーマンス向上を研究。人の行動をスキル、知識、行動意識、感情能力、価値観等の要素に分解し、どの要素が行動に影響を与えているかの観点からパフォーマンスを分析。職場のコミュ二ケーション、リーダーシップ、チームビルディング、ファシリテーション、ソリューション営業、マーケティング等の具体的施策に視点を活用する。

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