幸福な高齢者に学ぶ、幸せに働く方法

2016.03.11

組織・人材

幸福な高齢者に学ぶ、幸せに働く方法

川口 雅裕
組織人事研究者 /NPO法人「老いの工学研究所」理事長/一般社団法人「人と組織の活性化研究会」世話人

高齢期に幸福度が高まる理由は?

「高齢者」という言葉にポジティブなニュアンスを感じ取る人は、恐らく、ほとんどいないのではないかと思われます。「アンチ・エイジング」が大いにもてはやされているのは、その証明です。ほとんどの人の頭の中には、高齢者=弱者、かわいそうな人々というイメージがあり、「アンチ・エイジング」というのは、自分はそうなりたくない、出来る限りその時期を遅らせよう、という心理の表れと言えるでしょう。

ネガティブなイメージを持つ人にとっては意外でしょうが、高齢者は幸福感が高いことが分かっています。私が研究に参加している、NPO法人の「老いの工学研究所」の調査で、「現在の幸福度、これまでの幸福度」について、100点満点で採点してもらったところ、次のようになりました。

「人生を振り返り、各年代の幸福度を100点満点で評価してください」

私達の研究だけではなく、世界的にも高齢者の心理的側面の諸研究が「高齢期に、幸福感が維持される」ことを指摘しています。当研究所の調査結果では、上昇傾向にさえあります。高齢者は健康を損なったり、身体的機能が衰えたり、仕事を引退して収入が減ったり、活動範囲が狭まって刺激がなくなったり、家族や友人・知人の死を経験したりする。普通に考えれば、幸福感は低下するはずなのに、実際には幸福感が維持される。この現象を、「加齢のパラドックス」「幸福感のパラドックス」と呼びます。

このパラドックスを説明しようとした理論が、いくつもありますので、ご紹介しましょう。

1.離脱理論(世俗から離れることによる幸福)

高齢者は社会活動から離脱し、活動範囲を縮小する。従って、認知や身体の機能が低下しても、「できない」という否定的感情を持つ機会が自然に減少する。これが、幸福感が維持される理由である。

2.活動理論(新たな取り組みによる幸福)

高齢者は、それぞれの環境に見合った新しい役割や居場所を見出し、社会活動を再開している。これが、幸福感を維持する理由である。


3.継続性理論(強みの発揮による幸福)

高齢者は、自分自身の過去の経験や社会関係を、その後も継続的に活かせるような選択を行っており、社会もまたそれを認め、受け入れている。だから、幸福感を維持できる。


4.最適化理論(目標に対する態度による幸福)

高齢者は、柔軟に目標を変え、また目標の達成に執着しすぎることがない。集中するべき目標を適切に選び、仮にそれが達成できなくても、自己否定することなく、上手に自己を最適な状態に調整できるから、幸福感を維持していけるのである。

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川口 雅裕

組織人事研究者 /NPO法人「老いの工学研究所」理事長/一般社団法人「人と組織の活性化研究会」世話人

組織人事関連(組織開発・人材育成・人事マネジメント・働き方改革・健康経営など)や、高齢者・高齢社会をテーマとした講演を行っています。

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