「KY」を生み出す社会的圧力

2008.01.11

仕事術

「KY」を生み出す社会的圧力

松尾 順
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

こどもは非常に幼いときから、 大人のゼスチャーを見るだけでその意味の推測ができる ということが、研究でわかっているそうです。

こどもの言語知識形成や非言語コミュニケーション活動
などの研究を行っている小林春美氏(東京電機大学教授)は、

『科学のクオリア』(茂木健一郎、日経ビジネス人文庫)
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に掲載されている茂木氏との対談の中で、
次のような実験を紹介しています。

“キャップが付いたペンを一歳代の赤ちゃんに見せ、
 キャップを取ろうとするふりを見せます。
 キャップを取ろうとして取れない、というような動作です。
 そのペンを渡すと、赤ちゃんはキャップを取るのです。”

1歳そこらの赤ちゃんでさえ、
目の前の大人はペンのキャップを取りたいのだという

「意図」

を自然に読み取り、自分が取ってあげるという行動を
できるというのは驚きますよね。

小林氏は、このような行為ができる理由については
触れていませんが、おそらく昨日ご紹介した

「ミラーニューロン」

のおかげでしょう。

ミラーニューロンとは、平たく説明すれば、
他人の行動を見るだけで、その行動を自分自身の脳内で
「疑似体験」しているような感覚を与える神経回路のことです。

人は、誰もが生まれつき持っているミラーニューロン
のおかげで相手の言動をリアルタイムに理解(推測)できる。

そして、この能力が、共同体を作って相互に助け合って生きる
人間社会への適応を容易にしているのでした。

さて近年、ミラーニューロンを持っているはずなのに、
その能力を眠らせている人たちとも言える

「KY」(空気が読めない人)の増加

が問題視されています。

この「KYが増えている原因・理由」については、
次の2つの視点で考えることができます。

1.本人のコミュニケーション力の低下
2.KYを許容できない社会的圧力の強度化

世間一般の論調としては、
1の本人の問題に原因を帰結させていますね。

つまり、小さいころから他者(特に家族以外)との
コミュニケーションが不足したまま育ったため、
複雑な相手の感情を的確に読む力が低いという指摘です。

また、「KY」は、周囲の人の気持ちを読めるかどうかだけでなく、
その気持ち(=場の雰囲気)に即した適切な言動ができないという
ことがより問題ですが、これは、社会規範の欠如というか、
暗黙のルールを身につけていないということが挙げられます。

実際、こうした本人の問題も大きいでしょう。

しかし、同時に2番目に示した

「社会的圧力の強度化」

という視点も忘れてはいけないと思います。

昔の人々は、お互いにもっと感情をストレートにぶつけ、
傷つけあうことも多かった。人に迷惑をかけっぱなしの
ぶっとんだ人もたくさんいました。

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松尾 順

有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。

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