ワタミ復活のために求められる「理念経営」との訣別

2015.09.10

経営・マネジメント

ワタミ復活のために求められる「理念経営」との訣別

川崎 隆夫
株式会社デュアルイノベーション 代表取締役

外食チェーン大手のワタミは、2015年4~6月期の連結決算を発表しました。発表された連結決算を見ると赤字幅が拡大し、大変厳しい結果となっています。このような状況のもとで、ワタミの復活は本当に可能なのでしょうか?

■ワタミ復活のための処方箋

現在ワタミは、不採算店舗の閉鎖や労働環境の改善等に取り組んでいますが、ワタミ復活のためには、それだけでは不十分であると言わざるをえません。前述の点から、ワタミが復活を果たすために必要とされることは、業務の改善レベルの施策ではなく、以下のような抜本的な改革につながる施策の実行になるはずです。

第一の施策は、創業者が策定した現在の「経営理念」を破棄し、従業員の意見を集約した新たな「経営理念」の策定を行うことです。これにより、新生ワタミの生まれ変わった経営姿勢を世間にアピールできると同時に、ブラック批判も払拭でき、ブランドイメージも変わってくるはずです。

第二の施策は、従業員満足(ES)を重視した経営姿勢を明確に打ち出すことです。労働環境や人事制度の改善等はもちろんのこと、店舗運営等に従業員の意見を積極的に取り入れていくことにより、従業員の「やる気」を引き出し、顧客により良いサービスを提供する環境を整備していくことです。

併せて、創業者であり大株主でもある渡邊氏の影響力を、最小限に留める施策も講じなければなりません。そのためには、金融機関や機関投資家等の協力が欠かせません。

現在のワタミは、会社存亡の危機に立たされています。 ワタミの役員会はその状況をよく認識し、勇気をもって上記の施策を実行していく必要があるでしょう。それにより初めて、ブラック企業批判から解き放たれて、「新生ワタミ」として復活できる可能性が見えてくるのだと思います。

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川崎 隆夫

川崎 隆夫

株式会社デュアルイノベーション 代表取締役

経営コンサルタントの川崎隆夫です。私は約30年にわたり、上場企業から中小・ベンチャー企業まで、100社を超える企業の広告・マーケティング関連の企画立案、実行支援や、新規事業、経営革新等に関する戦略計画の立案、企業研修プログラムの策定や指導などに携わってきました。その経験を活かし、表面的な説明に留まらず、物事の背景にある真実が浮かび上がってくるような、実のある記事を執筆していきたいと思います。

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