『プログラミングバカ一代』清水亮・後藤大喜(晶文社) ブックレビューvol.2

2015.08.24

ライフ・ソーシャル

『プログラミングバカ一代』清水亮・後藤大喜(晶文社) ブックレビューvol.2

竹林 篤実
コミュニケーション研究所 代表

世の中はプログラマーが動かしている。Google、Amazon、Apple、Facebook、Microsoftは、すべてプログラムである。あなたの仕事も、そのプロセスのどこかで何らかのプログラムが関わっているはずだ。毎日のように使うメールが、あるいはインターネットそのものがプログラムである。そのプログラムを作るのがプログラマー。なかでも天才と呼ばれるプログラマーは何を考えているのだろうか。

いち早くiPhone、つまりスマートフォンの可能性を見ぬいた清水氏は、これが日本で売れなければ困ると考えたのだ。iPhoneは世界を変えるデバイスである。その本当の凄さは、普通の人には簡単にはわからない。

けれども、なんだかよくわからないが凄いものであることが伝われば、きっと火がつく。こう読んだ清水氏は、ソフトバンクの店の前で行列を作った。それも発売日の4日前から。ただし、ソフトバンクの店の前に並ぶと、文句を言われるので、通りの向かい側に社員を総動員して20名で行列を作った。

これがマスコミの目に留まる。その後の、iPhone発売日の熱狂ぶりは、誰もが知るところとなる。なぜ、iPhoneだったのか。それが人類を進歩させるからだ。

2011の時には、福島でゲームジャムを開催した。その時には「ソフトウェアは放射能に汚染されない」をキャッチフレーズにした。共感したプロのクリエイターが数十人参加し、現地の子どもたちが集まりゲーム「作り」に熱中した。子どもたちに夢を与えたのだ。

そしていま、清水さんは語る。
「プログラミングは人類の叡智を効果的に応用する最も効率的な方法である」と。

だから、誰でもがプログラミングできるよう尽力している。神様がくれた大切な贈り物を活かすために。そんな人物の半生記である。プログラミングに対する興味のあるなしに関わらず、一人の天才の生き方を知るために、ぜひ読んでほしい。

彼の生き方は、ある天才的な医学者の言葉を思い出させた。その医学者は、医学部生向けの講演で次のように語った。
「僕は、自分が人並み外れて頭の良いことを自覚している。これをビジネスに使えば、いくらでも金儲けができるだろう。けれども僕にはそんな時間はない。僕は、自分の才能を人の命を救うために与えられたと思っている。だから医学の研究に人生を捧げている。」

願わくば、彼らに続く天才がまた、同じ思いを抱かんことを。

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