老いそびれる人々

2015.02.24

組織・人材

老いそびれる人々

川口 雅裕
NPO法人・老いの工学研究所 理事長

NPO法人「老いの工学研究所」のHPに掲載したコラムを転載しました。

まず、隠してはならない。老いを隠すのは、人として成熟せず、知恵も経験もない若者との同化である。「若いですねえ」と言われて喜ぶのは、「まだ大丈夫ですよ」とか「前から見たら分かりませんよ」と言われて安心するハゲと似たようなものである。老いは、そのまま見てもらえばよい。カツラの助けを借りる人がハゲとして自立していないのと同様、見た目の若さを取り繕ったり、若いと言われて喜んだりするのは、高齢者としての自立を欠いている。もう元に戻ることはないのである。じたばたせず、老いや齢と向き合う姿勢が重要だ。そうして高齢者が老いを楽しみ、堂々と凛々しく振る舞えば、次に続く世代も恐れずに老い、自信を持って年をとっていくことができる

65歳の引退後、平均的には15年も人生が残っている時代となった。この長い期間、若さに拘泥し、老いを嘆きながら生きるのは、まさに老いそびれ。ハゲそびれが増えても社会に何の影響もないが、老いそびれが増えるのは大問題である。超高齢社会が、大変暗いものになりかねないからだ。高齢者も次世代も、早いうちに老いを受け入れ、切り替え、先々を考える機会を逸してはならない。

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川口 雅裕

NPO法人・老いの工学研究所 理事長

「高齢社会、高齢期のライフスタイル」と「組織人事関連(組織開発・人材育成・人事マネジメント・働き方改革など」)をテーマとした講演を行っています。

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