調達購買の役割を超えて

2014.10.30

経営・マネジメント

調達購買の役割を超えて

野町 直弘
調達購買コンサルタント

ある企業でのアンダー・ザ・テーブルの開発テーマからスタートしたある製品開発、これを支援したのは調達購買部門のキーマンでした。

「公共工事、入札不調相次ぐ、北関東、資材高や人手不足影響、膨らむ事業費、整備に遅れ。」
「公共投資は有効か 供給制約の壁」

よくニュースになっているのが工事建設関連の人手不足。
特に最近は現場の職人さん獲得競争だけでなく、建設会社の現場監督や設計者などの人手が不足しており仕事を取りたくても取れないような状況のようです。

このような人手不足は震災からの復興需要と所謂五輪特需によるものと言われていますが、背景には建設投資額が底をついた2010年頃から多くの技能労働者が廃業や転職を行ったためと言われています。

確かに一度廃業や転職をした職人がまた建設業に戻らないことは容易に想像できます。また一方で低賃金や労働条件が他業種に比べても厳しい建設業界は若者にとっても魅力が高くない職種のようです。労働者の高齢化はどの業界も少なからず抱える問題ですが、建設業の場合はより深刻です。
これは建設業従業者全体で29歳以下の若手が占める割合がバブル時代の20%から、現在は約10%にまで低下してしまっている状況が示しています。

現状新しい職人の担い手として女性の活用や外国人の活用を目指すべきという声も出てきていますが、女性の活用については建設業が持つ3Kイメージが活用を遅らせているとの指摘もあるようです。現在建設業における就業者全体に占める女性の割合は14%だそうで、製造業の30%や販売・小売業の51%と比べると、その少なさは目立ちます。一方外国人の活用については期間限定で事実上の外国人労働者に対する門戸開放が実施されることになりましたが現行の法体系の中でどこまで活用できるか疑問視する声も出ています。
このように現状の建設業界においては如何に職人を獲得していくか、それから同じ職人の数で如何に生産性を上げていくか、が大きな課題となっているのです。

製造業では部品・原材料などの供給リスクを回避することが調達購買部門の重要な役割の一つです。同様に建設業においては人員確保が調達購買部門の重要な役割の一つとなっています。

この様な時代背景からとても興味深い製品の販売が発表されています。それは調達購買部門が旗振り役として製品開発したものです。製品開発というと建設業
でいう製品とは建築物や土木工事なのですが、今回の製品は「疲労軽減ウェア」。
今年の9月16日に竹中工務店がプレスリリースした「職人DARWING(ダーウィン)」というウェアです。http://www.takenaka.co.jp/news/2014/09/03/index.html
これは建設作業を楽にする疲労軽減を可能にしたウェアであり、実際の製品開発及び製造は様々なサポーター・コルセットなどの医療用品のトップメーカーであるダイヤ工業http://www.daiyak.co.jp/という企業と共同開発をしたものとのこと。

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野町 直弘

調達購買コンサルタント

調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。

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