情動優位の時代!?

2007.12.14

仕事術

情動優位の時代!?

松尾 順
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

先日、マスコミにもよく登場される精神科医、 香山リカさんの講演に参加する機会がありました。

香山さんのお話の中で、私が一番引っかかったのは、

“現代は、「知性や理性」といったものよりも「感情や感性」
といった「情動的」なものが人々の行動において目立つように
なってきた。”

ということでした。

キャッチフレーズ的に言えば、

「情動優位の時代」

ということになるのでしょうか。

香山さんは、以前から、そして今でも、
臨床医として精神科の患者さんの治療を行っています。

患者さんはうつ病などの病気に罹ってますから、
当然ながら精神的に不安定です。

従来、患者さんとしか接していなかった香山さんは、

「病気だからこうなんだ、元気がなかったりするんだ」

と思っていたそうですが、近年、大学教授として学生に
接するようになって、この認識が間違っていたことに気づきました。

なぜなら、恵まれた環境にいる、ごく普通の学生たちもまた、
ちょっとしたことですぐに落ち込んだりメソメソしている。
あるいは逆に、ちょっとしたことにイライラし、むかついている。

つまり、香山さんは、
病人ではない、健康な一般人が感情の大きな起伏を日常的に
表に出していることに驚いたのだそうです。

考えてみれば、

泣ける本、泣ける映画

などが最近はやたら人気です。

逆に、大笑いできる漫才の人気も根強いものがありますね。

突然、「切れる」人も増えてます。

泣く、笑う、怒るといった感情を以前よりも
遠慮なく表出できるようになったということでしょう。

今は「心」の時代とも言われてもいますね。

「人間脳」と称される「大脳新皮質」を駆使して物事を
科学的に見ようとするアプローチが主流だった20世紀は
「脳」の時代でした。

一方、「心」の時代はいわば先祖帰りです。

つまり、「動物脳」とも称される大脳辺縁系を駆使して、
感情や感性で物事を全体的に捉えようとするアプローチが
主流になりつつあります。

これは、良い・悪いの議論ではありません。
そのような傾向が顕著になっているという現状認識を
お伝えしているだけです。

ただ、情動優位の時代になったのは、逆に言えば、
理性・悟性による感情コントロール力が低下したからと
言えるのかもしれません。

つまり、現代人、特に若い世代は、
自分の感情をうまく扱うことができなくなりつつある
のではないかということです。

このことが、昔は中年期以降の病気だった
「うつ病」が若い人に増えている背景にあるのではないかと
私は感じています。

マーケティングの世界でも、

「感情や感性」

をどう刺激するかということが、
近年ますます大きな関心事となってきてますよね。

(関連記事)
*わがままな3人の王様たち
http://www.mindreading.jp/blog/archives/200512/2005-12-26T1153.html

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有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。

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