コア・バリュー経営とブランディング

画像: Jeff Djevdet

カッコいいイメージやキャッチーなスローガンだけでは生活者の心を掴めなくなった時代に、「ブランディング」はどうあるべきか。

つまり、「ブランディング活動」という時、「買ってもらった者勝ち」ではなく、「購入後の一連の体験に関与する活動」も極めて重要ということになります。「ブランディング」はもはやマーケティング部門だけの責任ではなく、商品開発から店舗運営、カスタマー・サービスに至るまで、会社に属する一人ひとりがブランディングの一端を担うということになるのです。

そうなると、会社の中の全部門とすべての人を巻き込む「ブランディング活動」の基盤となる何かが必要になります。そしてこれは、かつてのブランディング活動の柱であった広告や宣伝の「かっこよい」イメージや「キャッチーな」スローガンではあり得ません。

会社の中で働くすべての人の志を統一し、心をひとつにした上でブランディング活動に臨めるようにする、その基盤となるのが、「コア・パーパス(社会的存在意義)」であり、「コア・バリュー」であると思うのです。

昨今、ソーシャル・メディアが普及し、そのビジネス活用への注目が高まるにつれ、「従業員ブランディング」ということが言われてきました。しかし、「従業員ブランディング」とは、かつてよく取り沙汰された「軟式アカウント」のように、企業のソーシャル・メディア・アカウントを通じて気の利いた受け答えをする「スター担当者」を祭り上げることを指すのではありません。企業のソーシャル・メディア活動が重要であるのは言うまでもありませんが、「従業員ブランディング」に何よりも大きく貢献するのは、日々、業務の現場で起こる地道かつごく地味な活動の積み重ねなのです。

店舗での店員さんの接客、コンタクト・センターのオペレーターさんの対応など、生活者にとっては、企業との触れ合いの一コマひとコマで体験することが何らかの感情を呼び起こし、その会社に対する印象として固まっていくことになります。我々人間は社会的動物であり、知識や情報を仲間と共有することに楽しみを見出す生き物ですから、そうして抱いた印象を面と向かっての対話の中で、あるいはソーシャル・メディア上で家族や友人に伝え、ひとつの企業に対して、同じような印象をもつ人がマジョリティを占めたときに、それが「ブランド」として市場に根付くようになります。

店員さん、オペレーターさん・・・。顧客体験の作り手であるこれらの人たちが、ブランドの伝道師としてふさわしい行動や言動をするためには、その人たちが、ブランドの存在意義(社会にどんな価値を提供するブランドなのか)や、行動や言動の「ものさし」となる価値観(コア・バリュー)をよく理解し、それらに賛同して、我がものとして身につける必要があります。

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石塚 しのぶ

ダイナ・サーチ、インク 代表

ダイナ・サーチ、インク代表 https://www.dyna-search.com/jp/ 一般社団法人コア・バリュー経営協会理事 https://www.corevalue.or.jp/ 南カリフォルニア大学オペレーション・リサーチ学科修士課程修了。米国企業で経験を積んだのち、1982年に日米間のビジネス・コンサルティング会社、ダイナ・サーチ(Dyna-Search, Inc.)をカリフォルニア州ロサンゼルスに設立。米優良企業の研究を通し、日本企業の革新を支援してきた。アメリカのネット通販会社ザッポスや、規模ではなく偉大さを追求する中小企業群スモール・ジャイアンツなどの研究を踏まえ、生活者主体の時代に対応する経営革新手法として「コア・バリュー経営」を提唱。2009年以来、社員も顧客もハッピーで、生産性の高い会社を目指す志の高い経営者を対象に、コンサルティング・執筆・講演・リーダーシップ教育活動を精力的に行っている。主な著書に、『コア・バリュー・リーダーシップ』(PHPエディターズ・グループ)、『アメリカで「小さいのに偉大だ!」といわれる企業のシンプルで強い戦略』(PHP研究所)、『ザッポスの奇跡 改訂版 ~アマゾンが屈した史上最強の新経営戦略~』(廣済堂出版)、『未来企業は共に夢を見る ―コア・バリュー経営―』(東京図書出版)などがある。

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