アメリカで白熱化する、プレミアム・コーヒー戦争とスタバいじめ

画像: toshifukuoka

2015.07.17

経営・マネジメント

アメリカで白熱化する、プレミアム・コーヒー戦争とスタバいじめ

石塚 しのぶ
ダイナ・サーチ、インク 代表

アメリカで熱く繰り広げられるプレミアム・コーヒー戦争。マクドナルドやダンキン・ドーナツなど、シェア剥奪を狙う競合のスタバ攻撃は過酷だ。

近頃、何を読んでいても、スタバ不調のストーリーで持ちきりである。自ら引き起こした「ブランド破壊」が顕著になっているのは本国、アメリカだけかと思っていたが、先日の竹林氏の記事によると、日本でも同様な展開になっているらしい。

不況のご時世で、最近、アメリカの広告・マーケティング業界からは派手な話題がめっきり減っているが、そんな中、唯一、目立っているのが、「プレミアム・コーヒー」市場を巡る、スターバックス、マクドナルド、ダンキン・ドーナツの壮絶な覇権争いである。

「覇権争い」なんて、ご大層な言葉を使うと聞こえはいいが、その実態は、「弱って倒れているスタバをこれでもかと蹴飛ばす」、競合他社の容赦ない「いじめ」の域まで達している。比較広告が合法のアメリカではとりたてて騒ぐほどのことでもないのかもしれないが、日本人の私の目には、ちょっと「えげつない」とまで感じられてしまう。

ことの起こりは、昨年(2008年)の10月、ダンキン・ドーナツが立ち上げたウェブサイト、www.dunkinbeatstarbucks.com(ダンキンがスターバックスに勝った・ドット・コム)。

この中で、ダンキン・ドーナツは、全米主要都市で行われた試飲テストで、過半数が「ダンキンのコーヒーがスターバックスより美味い」と判定したことを公表。「この真実をみんなに広めよう!」と、辛辣なジョークたっぷりのeカードを無料で送信できる機能まで盛り込んだ。

しかし、さらにショッキングだったのは、その2カ月後にお目見えしたマクドナルドのビルボード。その広告コピーはずばり、「four bucks is dumb.((エスプレッソ)1杯に4ドルは馬鹿だ)」。・・・そこまで言うかと私は絶句したのだが、マクドナルドはなんと、このビルボードを、スターバックスのお膝元であるシアトル近郊を中心に設置したのだ。

これを、いじめと呼ばずに何と呼ぶのか。そう思っていたら、今月の5日には、マクドナルドの全米キャンペーンが盛大なファンファーレとともに開始された。今年、マクドナルドは、「McCafe」というブランド名のもと、モカ、ラテ、カプチーノなどのエスプレッソ・ドリンクを全米14,000店舗で販売開始するが、その認知向上を狙い、テレビ、ラジオ、雑誌、屋外媒体、ウェブ、SNSなどマルチ・メディアを総動員した超大型キャンペーンである。そのキャンペーン予算は推定1億ドル(100億円)

次のページ2,600万ドル(26億円)

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石塚 しのぶ

ダイナ・サーチ、インク 代表

南カリフォルニア大学修士課程卒業。米国企業でNASAプロジェクトなどに関わり経験を積んだ後、82年にダイナ・サーチ、インクを設立。以来、ロサンゼルスを拠点に、日米間ビジネスのコンサルティング業に従事している。著書に「アメリカで『小さいのに偉大だ!』といわれる企業の、シンプルで強い戦略」(2016年4月、PHP研究所)、「未来企業は共に夢を見る~コア・バリュー経営~」(2013年3月発売)、「ザッポスの奇跡 改訂版 - アマゾンが屈した史上最強の新経営戦略」、「顧客の時代がやってきた!売れる仕組みに革命が起きる」などがある。

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