入札制度の限界と競争環境の整備

2013.08.21

経営・マネジメント

入札制度の限界と競争環境の整備

野町 直弘
調達購買コンサルタント

民間でも近年の需給のひっ迫や今後続くであろう新興国企業との競争によりさらに相対的な買い手としての立場が低下することを考慮し、サプライヤマネジメントの一環として如何に優秀なサプライヤを囲い込むか、が主要なテーマになりつつあります。そのために業界やサプライヤの声を聞き有益な情報を提供し、彼らのメリットにつながるような取組みをすることが求められているのです。

それではどうすればよいか。私はある程度民間調達の世界でのサプライヤマネジメントの制度を取り入れるべきだと考えます。例えば復興工事案件については限定的に地場を中心とした建設業者さんを組織化して案件毎ではなく、復興工事案件全体で取引先の意見を吸い上げながら工事計画を作っていくように、一部随意契約的な要素を取り入れることが良いのではないかと考えます。
取引先が今一番知りたいのは工事計画の全体像でありそれを踏まえた職人や資材の確保を計画的に行いたいからです。

そうすると批判の声が必ず出てきます。「一部の業者を優遇していいのか。」と。いいんです。
もしその建設業者が優秀な業者であり、品質も優れ価格的にも問題がなければ結果的には皆がハッピーになれるじゃないですか。そもそもサプライヤマネジメントの根底は「えこひいき」の概念です。T自動車が協力会企業に優先的な発注を行っているのが何で悪いのでしょうか。
それでも良い買い物ができて競争力が保持できるのであれば、入札に拘る必要性は全くないでしょう。

ただ、ここで一つだけ気をつけなければならないことがあります。調達・購買部門の唯一の役割と言ってもいいでしょう。それは「癒着状況に陥らないための競争環境を作る」ことです。
例えば数年に1回取引先の見直しを図る、とか定期的なサプライヤ評価を行って改善を行わせる、とか価格の適正状況をチェックするために、マーケット価格との比較を行うとか、原価推計を行い割高を指摘する。あとはサプライヤから提案を募ってそれでコスト削減につなげるというのもあるでしょう。このような施策は競争環境とは言い難いですが緊張環境と言い換えられるでしょう。

主要なサプライヤを指定しそのサプライヤとタイトに組みながら、競争環境や緊張環境を作っていくことは非常に大切なことです。また調達・購買担当者が考えなければならないことの主なことと言ってもよいのです。
しかし日頃民間企業の調達・購買担当者は多くの案件を処理することに忙殺されています。また公共の契約担当者は入札をやることに拘っています。やらなければならないのは最適なサプライヤの選定と「協調・競争のバランス」を取ることなのです。
とてもシンプルですがそれが本質であり、その目的を達成するためにどうしたらよいかを考えるべきなのです。

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野町 直弘

調達購買コンサルタント

調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。

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