「情報調達」と「情報提供」

2013.07.23

経営・マネジメント

「情報調達」と「情報提供」

野町 直弘
調達購買コンサルタント

調達に求められる「情報流通」の役割とは?

一方で「情報流通」という視点で考えると「情報調達」とともに重要なのは「情報提供」です。
最近、図らずも複数の優秀なバイヤーの方からサプライヤへの「情報提供」の重要性について話を聞く機会がありました。「情報調達」とともにサプライヤへの「情報提供」はバイヤーとして欠かせないことだとその方々はおっしゃています。
あるバイヤーは自社および自社の属する業界の事業展開やトレンド、技術動向に関してまとめた「白書」のようなものをサプライヤに提供しているそうです。それによりサプライヤとの情報交換がスムーズになり、コミュニケーションが円滑化した、とおっしゃっていました。その方がおっしゃるには、自社の事業戦略だけを情報提供することは守秘義務上できないので、わざわざ業界全体の動向を取りまとめてサプライヤに編集し情報提供されているとのことです。
また別のあるバイヤーは海外に駐在している時に日本では提供できる情報に制約が大きいものの海外での取引では提供できる情報の範囲や幅が広がるのでそれを上手く活用してサプライヤに情報提供をしていた、という話を聞きました。例えば日本では取引がないお客様や系列外のサプライヤとの取引が海外では普通に行われているため、収集できる情報範囲が広がるということです。
このバイヤーさんの元には多くのサプライヤの方が「情報調達」に来られ、またサプライヤからの「情報調達」もできるため「情報流通」を介していい関係づくりができていた、とのことです。

このようにこれからのバイヤーは単に「情報調達」だけでなく「情報提供」を行うことでサプライヤとのコミュニケーションを円滑化していく必要があります。またサプライヤとの関係性づくりのために「情報流通」を上手く使っていく必要があります。例えばタイトに組んでいきたい先に対してはより深い情報提供を行うなどです。これは単にサプライヤとの間での話ではなく社内のユーザーとの間でも同じことが言えます。
単に発注先や価格の決定だけでなく「情報流通」のハブとなり付加価値のある「情報流通」の担い手になる。それが求められる重要な役割の一つになっていることは間違いありません。
皆様方は十分な「情報流通」の役割を担っているでしょうか。

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野町 直弘

調達購買コンサルタント

調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。

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