ノーべル経済学賞と調達・購買の世界

2013.07.09

経営・マネジメント

ノーべル経済学賞と調達・購買の世界

野町 直弘
調達購買コンサルタント

昨年のノーベル経済学賞を受賞した米国の学者が推賞している「マーケットデザイン」と企業間商取引の関係は?

調達・購買業務におけるオークションは通常競り下げ方式で実施されます。
また一般競争入札などの入札方式は封入式(誰がいくらで入札したか分からない)で最低価格を競う方法です。以前私も実務やコンサルティングの現場で何度もオークションや入札は経験していますが、一般的に競り下げ方式は時間がかかるが最安値引出しには封入方式より効果的である、というのが通説です。
しかし実際には両方のやり方を比較しても(例えば昨年は競り下げ方式で今年は同じ商品を封入式で入札実施した場合を比較)、感覚的には最低価格自体にそれほど差異はないという実例もありました。
先ほどのマーケットデザイン手法を活用すると封入式でかつ2番目の最安値を採用する、というやり方が最も効率的に最安値を引き出すための手法として応用できると考えられます。
オークションに関しては過去にサプライヤに対する情報開示で「順位のみ開示」のやり方の方が「最安値価格を開示」よりもより安値を引き出すことができる、という分析をしていた企業がありました。このような新しい制度や経済的な手法を実務と絡めて実施し分析・検証を行い次の新しい取組みに活用していくということは非常に大切なことです。
このような視点は特に「職人技」を尊ぶ日本企業や調達・購買の世界にはより欠かせないでしょう。

マーケットデザインでは他にもバンドリング検証(組合せ発注)のためのオークション活用方法や、「不安定な早いもの勝ち」を防ぐための「マッチング」手法などの考え方もあります。特にこの「マッチング」手法はサプライヤとバイヤーという売り手と買い手の最適な組合せを最適化する上で有効な考え方かもしれません。それは調達・購買の世界が1対nではなくn対nだからです。

マーケットデザインの手法は「周波数免許におけるオークションの活用」や「研修医マッチング」「腎移植マッチング」「学校選択制」などの主に社会分野で活用されていますが、企業間取引における活用はまだまだ進んでいないようです。私も含む現場での実務家がもう少しこのような手法を上手く実務に取り入れるような意識や取組みが今後より求められるに違いありません。

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野町 直弘

調達購買コンサルタント

調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。

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