調達することの難しさ

2013.05.01

経営・マネジメント

調達することの難しさ

野町 直弘
株式会社クニエ プリンシパル

物を買うということは易しいことでしょうか? 「物を売ることに比べたら易しい」 「物を買うことは万人がやっている(やれている)」 こういう言葉が返ってくるかもしれません。 確かに万人が物を買っています。小学生からお年寄りまで。 しかし、企業として大量かつ継続的に物を買うことは思った以上に難しいことです。

物を買うということは易しいことでしょうか?
「物を売ることに比べたら易しい」
「物を買うことは万人がやっている(やれている)」
こういう言葉が返ってくるかもしれません。
確かに万人が物を買っています。
小学生からお年寄りまで。
しかし、企業として大量かつ継続的に物を買うことは思った以上に難しいことです。
特に昨今の原材料市況高騰や東日本大震災などの事案の直後、安定的に調達を
することは思った以上に難しいことです。鉄を1キロ買うことはそれほど難しくないでしょう。でもそれが月間1000トンで、それを安定的に調達する、という話になると全く難易度が変わってきます。

最近、このような調達することの難しさを体感する機会がいくつかありました。
まずは、関西のある企業さんの事例です。
彼らはグローバル企業の100%子会社で地域に根差した企業です。
歴史もそれ程古くなく、話をした相手も会社設立して間もなく入社し、ずっと調達部門に従事された方でした。
彼らは大企業がよくやるような「付き合いの深いサプライヤに同じ地域に工場を進出させる」というやり方をせずに、地場で優秀な企業を探し出して今のサプライヤベースを築いてきたとのことでした。
彼らは設立後もそのような方針で調達を行ってきたことから、調達の難しさをよく理解しており、決して「買う」という強い立場でサプライヤと接してきませんでした。今でもサプライヤをパートナーと位置づけ「声を聞く」のではなく
「双方向のコミュニケーションを行う」ことを重要視しています。
これらの活動の基本になっているのは、彼らが「調達することの難しさ」を知っていたことでしょう。

次はある銀座の焼鳥屋さんでの出来事です。そのお店は90年の歴史を持つ有名な焼鳥屋さんです。一口食べると感動する位美味しいお店です。
私は店主に「なんでこんなに美味しいのですか?」と尋ねました。すると店主は
「素材がいいからです」と一言答えました。「素材もそうでしょうけど、焼き方もあるのでは?」私が繰り返し尋ねると店主はこう答えました。
「いや、素材だけです。いい鳥を90年育て続けてくれている養鶏家の方が素晴らしいんです」
私はびっくりしました。このお店は90年間契約している養鶏家から安定的に鶏肉を調達し続けているのです。その間に戦争があったりオイルショックがあったり、バブルがあったり、それでも調達し続けているのです。 その店主は今でも毎月2回この養鶏家を訪問して自分の目で鳥を確かめに行っているそうです。
「素晴らしい素材や物を調達し続けるのは難しいし、手間もかかる」
調達することって難しいことです。もっと言えば素晴らしい素材を調達できることはそれだけで製品や商品、サービスの価値を高めることにつながるのです。

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野町 直弘

株式会社クニエ プリンシパル

NTTデータグループのコンサルティング会社である株式会社クニエの調達購買改革コンサルタント。 調達・購買分野に特化したコンサルティングを提供している株式会社アジルアソシエイツの元代表。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルがサービス提供を行います。

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