政府調達に欠けているモノ

2012.12.19

経営・マネジメント

政府調達に欠けているモノ

野町 直弘
株式会社クニエ プリンシパル

私は政府調達に欠けているモノで一番重要な視点は「サプライヤマネジメント」の概念だと考えます。

2012年の7月位から日経コンピューター誌上で「政府システム調達、失敗の本質」という連載記事がありました。最近ITproというWebサイトでも読むめるようになりましたので内容を簡単に紹介します。
(http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20121204/441881/)

2004年に各省庁の業務プロセスとITの改革を目指した「業務・システム最適化計画」の策定から8年が経ちましたが多くのシステムが未だに刷新されていません。特許庁のシステムはプロジェクトそのものが中止し55億円が無駄に、人・給与システムはプロジェクトが難航し開発費が当初の2倍の61億円に膨張、などなど驚くべき額の無駄使いが並べられています。
記者はこれらの政府システム調達の構造的な問題は「IT人材の質・量が不足している」点と「入札準備から稼働に至るまでの調達プロセスが未成熟」の2つを取り上げています。
特に2つ目の「調達プロセス」の課題については「システム開発計画を審査する仕組みやプロジェクトのレビュー機能がない」「技術力で劣るITベンダーの落札を防ぐ仕組みが機能しなかった」ことを上げています。後者ついては「価格だけでなく技術も評価する総合評価方式を導入したことは間違っていなかったが、技術点で差が付きにくく結局は安値での入札が決め手になった」とのことです。一方で、最適化計画では競争入札および分割発注の仕組みを取り入れた筈だが、実際には「随意契約」と「競争入札への応札が1社のみだった」案件が全体の8割に上っており、見えざる「ベンダーロックイン」に縛られているも述べています。

私は政府調達に欠けているモノで一番重要な視点は「サプライヤマネジメント」
の概念だと考えます。

そもそも上記に上げられている「IT人材の問題」「調達プロセスの未成熟」の問題は政府だけでなくほぼ全ての民間企業にも同じことが言えます。
しかし、民間企業でこのような多額の投資をしておきながらシステムが稼働しない、ということは(全くないとは言いませんが)これほど多くありません。
何故、この違いがでてくるのでしょうか。
多くの民間企業は(全くしていないとは言いませんが)このような難易度が高いシステム開発案件については入札やコンペをしていないのです。
生産システムはここ、会計システムはここ、設計関連システムはここ、というように領域毎に得意分野を持つシステム会社を開発・運用会社として指名していることが少なくありません。何故ならその方が失敗リスクが低いからです。
私は入札やコンペをするな、と言っている訳ではありません。それほど難しいシステム開発であれば、それを遂行できるプロジェクトマネジャーやそういう方が在籍する企業は多くないでしょう。
つまり「元々比較できないものを無理やり比較しようとするから、問題が起こりうるべくして起きてしまう」と言っているのです。

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野町 直弘

株式会社クニエ プリンシパル

NTTデータグループのコンサルティング会社である株式会社クニエの調達購買改革コンサルタント。 調達・購買分野に特化したコンサルティングを提供している株式会社アジルアソシエイツの元代表。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルがサービス提供を行います。

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