電子立国日本の再挑戦

2012.06.21

経営・マネジメント

電子立国日本の再挑戦

野町 直弘
調達購買コンサルタント

1991年に「電子立国 日本の自叙伝」というNHKスペシャルが放映されました。 内容は半導体およびマイコンの開発について、その黎明期からその当時にいたるまでの話であり、当時日本が絶対的な競争力を持っていたDRAMを中心とした半導体や電子計算機の事業に焦点をあてたものでした。

シャープの決断(3)には資本出資の交渉のやりとりで「日本とは変な国だな」という鴻海の薫事長である郭台銘氏のコメントが載せられています。
シャープは有価証券報告書の主要株主の一番上に鴻海が載せられることを嫌い、出資母体を4つの企業に分けるように鴻海側に交渉したそうです。
「金融機関が一番上にいればいいのか」、「そうだ」、「日本というのは変な国だな」というやり取りがあったと書かれています。
シャープの決断(4)にはこんなエピソードが載っています。
「鴻海の人は『シャープの社員の頭はコンクリートだ』と言っている。」シャープ相談役の町田氏のコメントにあるのは、1980年代米RCA社のOEMを担当した当時のことを振り返り「我々も寝る間も惜しんで仕事をした。」鴻海との提携で、あのダイナミズムを取り戻せたら。
シャープの決断(5)では2011年の8月に町田氏が鴻海の技術開発拠点を訪れた際に「もう抜かれとるやないか」という印象を持ったとあります。「人件費が安いとか、そういう次元の話やない」とも書かれています。
5/29日の日経誌には町田相談役のインタビュー記事がでています。
「シャープも含め日本の家電メーカーは昭和30年代からの成功体験で保守的になったところがある。鴻海の仕事のスピード感とか、ものの考え方とかをシャープに植え付けたいと思った」「ずいぶん悩んだが、この提携は日本のデジタル家電メーカーが窮地を脱する一つの解決策だと信じている」と。

これらの記事に見られるように日本企業は構造的な問題だけでなく、過去の成功体験から中途半端に図体だけ大きな巨像になっていたのかもしれません。

今後のシャープをはじめとする日本の電機・電気メーカーの再挑戦に期待したいと思います。

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野町 直弘

調達購買コンサルタント

調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。

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