マーケティング視点の組織改革とその実際2

2007.11.08

経営・マネジメント

マーケティング視点の組織改革とその実際2

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

前回、ナレッジマネジメントによる組織改革をマーケティングの手法で展開する基礎として、環境分析を3CとSWOTで行った。次なるマーケティングの基本はS・T・P、「セグメンテーション」「ターゲティング」「ポジショニング」である。S・T・Pを如何にナレッジに適応していくのかを今回は考えてみよう。

(前回の記事)

■STPを理解しよう

マーケティングの基本は、自社が如何に市場・顧客のニーズに適応するのかを考えることにある。具体的な施策としては、有名な4P(Product・Price・Place・Promotion)で考えていくが、その前に必要なのがSTPだ。
STPをひとことで言えば以下のようになる。展開すべき市場を同質なニーズで括る(Segment)。さらにそのセグメントの中から目標を絞る(Targeting)。目標とした市場・顧客から選ばれるように自社の特徴を明らかにする(Positioning)。
上記を自社ナレッジの観点で考えるとどうなるのかを以下に解説する。

■ナレッジの棚卸しをしよう

まず、市場・顧客から求められる製品・サービスを創り出すために必要とされるナレッジとはどのようなものがあるのかを、くまなく洗い出す。「ナレッジの棚卸し」といわれる工程であり、極めて重要だ。さらに棚卸しされた内容を、大・中・小の階層に分類しよう。つまり、ナレッジのセグメンテーションである。これが完成すれば簡易な「ナレッジマップ」の原型が出来上がる。但し、ここではサラッと書いているが、実際にはかなり手間のかかる作業であることを申し添えておく。

■注力すべきナレッジ領域を特定しよう

次に、市場・顧客のニーズ適応のために、特に必要となるナレッジ領域を特定しておこう。つまりターゲティングだ。社内ナレッジをさらに強化していくための一つの指標は現状以上に市場・顧客のニーズに適応させること。そうすれば、競合にはできない自社ならではの強み、「バリュープロポジション」が構築できる。
強みを強化することと、弱みを克服すること。企業改革にはどちらも大切であるが、今日のビジネス環境では明確な強みを持っていなければ生き抜くことは難しい。ついつい、弱みを何とかしようという方向に目が向きがちだが、弱っている時こそ、強みが見えなくなり悪循環に陥りがちなのだ。注意が必要だ。
また、社内のミクロ環境にも注目しよう。誰が、どのようなナレッジを必要とし、供給すべきなのか。細かいレベルでのターゲティングにも注目することにより、組織内でのナレッジのあるべき流れが描けることになる。

■何のためのナレッジか?を明確にする。

今日のマーケティングでは、STPにおいては実は「ポジショニングの明確さ」が最も重要であると言われている。自社が選ばれるためには「選ばれる理由」が明確でなければならない。同様に、組織内で「ナレッジの活用」を叫んでも、「何のためのナレッジなのか」が明確でなければ、誰も活用しようとはしなくなる。また、ユーザーがどのように活用すべきなのかも明示しなくてはならない。それができていないが故の失敗例は枚挙にいとまがない。つまり、ポジショニングが重要なのだ。
例えば、社内ユーザーに「気付き」を与えるために、社内ナレッジにアクセスするための検索環境を整備するという方向もあるだろう。その場合、できるだけ多くのユーザーが頻繁にアクセスするような働きかけが必要となる。社内ユーザーが相互扶助的にナレッジを交換し合う「QAコミュニティー」の展開もある。QとAとのトラフィックの多さがカギになることは言うまでもない。一方では業務を遂行するにあたって必ず参照すべきナレッジなどを体系化する場合もある。FAQを中心としたパターンだ。この場合は、いかにきちんと参照を励行するかという部分がカギだ。ここに挙げたのは一例であるが、いかなる場合でも前述の通り「何のためのナレッジなのか」「ユーザーがどのように活用すべきなのか」というポジショニングを明確にすることが欠かせない。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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