マーケティング視点の組織改革とその実際1

2007.11.07

仕事術

マーケティング視点の組織改革とその実際1

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

筆者のコンサルティングにおける専門領域は、主にマーケティングとナレッジマネジメントである。というと、人からは「何を畑違いのこと二つに首を突っ込んでいるのか」と言われることがある。しかし、実は両者は密接に関係しているのだ。その展開の基礎を2回に渡ってご紹介しよう。

■組織改革における環境分析の必要性

ナレッジマネジメントの目的は、企業内の「知」を活かし、組織変革を促すことにある。しかし、現状に何らかの問題や不足を感じて「組織を変えよう!」といっても、何をどのように変えるのかわからず、闇雲に動いても成果は出ない。処方箋が必要だ。そのためにはまず、診断が必要となる。
社内のナレッジがどこに、どのような形で存在し、どのように活用されているのかという「ナレッジマップ」の構築。また、個々の構成員がどのようなナレッジを保有しているのかという「ナレッジセンサス」などが必要となるが、そうした専門的な手法の前に一般的な環境分析を行うだけでも改革の方向性は随分と明確になる。
如何なる方向に変革すべきなのか。それには、自社の相対的なポジションや、強み・弱みの明確が求められる。「相対的なポジション」「強み・弱み」とくれば、マーケティングでもお馴染みのフレームワークの出番だ。

■3C、SWOTで自社を分析してみる

3C、SWOTは環境分析のイロハのイだ。しかし、フレームワークはその要素をフレームに当てはめ、安心してしまったり、事実(ファクト)の整理に終始してしまったりしては意味がない。今、やろうとしているのは、如何に組織を改革するか。そして、その原動力として組織内の知(ナレッジ)をどう活用するのかということだ。明確な目標を意識すれば、分析の切り口もはっきする。

・3C分析
ここで求められる3C分析の手順は以下の通りだ。ファクトを洗い出すだけでなく、明確な「意味合い」を出していきたい。
1.Customer:市場環境と顧客ニーズを明らかにする。
2.Competitor:競合が如何に市場環境と顧客ニーズに応えているのかという動きを明らかにする。
3.Company:自社が市場環境と顧客ニーズにいかに応えているのか。応えられていない点(ニーズギャップ)はないか。競合が応えられていない点で自社が勝っている点は何か。その逆は何か。

・SWOT分析
外部環境のプラス要因を機会(Opportunity)、マイナス要因を脅威(Threat)。内部環境のプラス要因を強み(Strength)、マイナス要因を弱み(Weakness)として抽出する。
しかし、有名な割には実際の分析に手こずる代表格がこのSWOTだ。客観的なファクトの洗い出しや、それをプラス面、マイナス面に適切に分類することが実は難しい。しかし、ここでは前項の3Cで導出された結果を勘案し、特に市場環境及び競合環境の中で市場及び顧客のニーズに応えられているか否か。内部的なニーズ適応の武器としてのナレッジの過不足という観点に注目するといいだろう。

今回ご紹介したように、マーケティングで使用される基本的なフレームワークを使用しただけでも自社を巡る環境が明らかになることが理解できただろう。ポイントは目の前の問題や課題に拘泥し、近視眼になることなくフレームワークを活用して客観的かつ、俯瞰的に分析すること。また、分析の視点を今回であれば、「ナレッジの活用」というように明確にすることである。

続編→マーケティング視点の組織改革とその実際2

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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