適者生存できない組織

2007.11.07

組織・人材

適者生存できない組織

増田 崇行
株式会社クエストコンサルティング 代表取締役

「組織外部の変化が組織内部の変化より速ければ、その組織は間もなく終焉を迎えるであろう」 これは、前GE最高経営責任者ジャック・ウェルチの有名な言葉である。

もっと性質が悪いのは「ゆっくりと温められていることに気づいていながら、変化への対応行動を起こせない蛙」である。

変化への適応行動が難しい理由のふたつめは、大変な決心と勇気がいるということである。

西部劇の映画で列車の屋根の上で格闘するシーンがあるが、闘う主人公が決死の覚悟で車両を乗り移り、振り落とされそうになる。

現在うまくいっていることを敢えて変化させていくことは、それ位大変なことだと言われている。

成長段階の右肩上がりのフェーズのどのあたりで変化の必要性に気づき、新たな成長カーブに乗り移れるのか。

ある調査によると、企業のチェンジ・マネジメントの妨げとなる理由のうち、約50%は人間的側面(ヒューマンファクター)である。

変化への適応行動が難しい理由の3つめは、人間が変化を乗り越えるには、必須の移行ステップが存在することである。

ほとんどの場合、身の回りに変化の兆しが現れても、「自分には関係ない」と決め込み、変化そのものを「否定」する。

この状態では、当事者意識を持つことは困難であり、自分の喉元まで来ないと実感できない。

次に、変化の重要性と影響を認識できても、その変化に対する「抵抗」の心理が働く。

心地よいと感じる状態が慣性モーメントとなり変化を妨げる。

これが顕著になると、いわゆる抵抗勢力となる。

しかし、時間が経ち状況がさらに変化することにより、変化を受容して善後策を「探求」する段階となる。

実際には人の心は揺れ動き、「抵抗」と「探求」の狭間を何度も行き来しながら、徐々に「探求」モードに移行する。

実際の解決策が見出せて、それに向けて「決意」できれば、道筋は開ける。

この「否定」→「抵抗」→「探求」→「決意」という変化の移行ステップはチェンジ・マネジメントを成功させるためには必須であり、4つのステップをきちんと経なければならない。

「なんだかわからないけど、とりあえず変化してみた」というように、「抵抗」→「探求」を飛ばして「否定」→「決意」にショートカットする“見せかけ”の変化を“ターザン・スイング”という。

結局はうまく環境適応できないパターンである。

不祥事に喘ぐ企業のチェンジ・マネジメントは果たして成功するのだろうか?

また、目下順調に推移している企業の組織に落とし穴(リスク)はないのか?

経営トップのリーダーシップと組織風土をつぶさに見れば、想像がつくのかもしれない。

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増田 崇行

増田 崇行

株式会社クエストコンサルティング 代表取締役

2006年5月に株式会社クエストコンサルティングを設立しました。 組織人事領域におけるプロデューサーとして、クリエーターとのコラボレーションによりユニークなサービス、ビジネスを開花させてきました。今後も「Quest for the Human Brightness」をコンセプトとして、インパクトのあるサービスを開発しご提供することで、人と組織の本質的価値の向上に貢献できたらと考えています。

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