目的と手段を考える〈上〉

2011.10.17

仕事術

目的と手段を考える〈上〉

村山 昇
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

私たちは日々の仕事の中で、手段がいつの間にか目的にすり替わり、袋小路に入っていたということをしばしば経験する。目的と手段をきちんと理解しているか否かは、事の結果に大きく影響する。本稿では改めて目的と手段について考える。

◆目的と手段の基本的な形
 「目的」とは目指す事柄をいいます。そして、その事柄を実現する行為・方法・要素が「手段」です。
 何かを成し遂げようとするとき、目的と手段は1セットになっていて、平たく言えば、「~のために〈目的〉」+「~する/~がある〈手段〉」という形になります。例えば、「平和を守るために、署名活動をする」、「平和を守るために、法律がある」といったような形です。その関係を図に示すとこうなります。

◆目的と手段は相対的に決まる
 さて、私たちはときとして、何が目的で何が手段であったか混乱してしまう、気がつけば手段が目的に入れ替わっていたなどという経験をよくします。これはなぜでしょうか───。それは、目的と手段は目線を置くレベルによって「相対的」に決まるものだからです。つまり、あるレベルでは目的であったものが、違うレベルでは手段になりうるということが起こるのです。それを図で考えてみましょう。

 図2は、ある一般的な人の人生の流れを例として描いたものです。レベル1は、小学校低学年のときのことを思い出してください。このころは、「テストでいい点を取る」ために、「しっかり算数を習う・きちんと漢字を覚える」という目的・手段の組み合わせがあります。ところが、レベル2の高校生くらいになると状況が変わってきます。レベル1では目的だった「テストでいい点を取る」は、レベル2では手段となります。その手段の先には、「希望の大学に入り、好きな研究をするため」という目的が新たに生じたのです。しかし、人生が進み、就職段階のレベル3にくると、レベル2で目的だった「希望の大学に入り、好きな研究をする」は、新たな目的である「専門を生かした就職をするため」の手段となります。

 このように、ある1つの目的は、より大きな目的の下では手段となります。つまり、自分がどのレベルに目線を置くかによって、何が目的か、何が手段かが、相対的に決まってくるわけです。
 自分が常に意欲的になって、ある1つの目的を達成した後、次の新たな目的を掲げ続ける限り、この目的・手段の入れ替わりはどこまでも続いていくことになります。このことは逆方向もまた真なりで、何を成したいかという目線が下がってしまっても、やはり目的・手段の入れ替わりが起こります。

◆目的=目標+意味
 目的について、もう1点重要なことを加えておきましょう。目的と目標の違いは何でしょうか───。目標とは、単に目指すべき状態(定量的・定性的に表される)や目指すべき具体的なもの(例えば、模範的な人物や特定の資格など)をいいます。そして、そこに意味や意義が付加されて目的となります。したがって、両者の関係を簡潔に表すと、「目的=目標+意味」となります。

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村山 昇

キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。

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